ファミリーマート、ヒット商品連発を可能にする、ある仕組みと仕掛けとは

2022/04/13 05:55
    湯浅 大輝 (ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
    Pocket

    ファミリーマート(東京都/細見研介社長)は3月24日、2022年度上期商品政策(MD)発表会を開催した。21年度は「SPAMおむすび」「クリスピーチキン」などのプライベートブランド(PB)商品がヒットし、既存店売上高の前年越えに寄与。また、21年3月から全国展開している同社オリジナルの衣料品ブランドの「コンビニエンスウェア」の好調を受け、今年3月からは「ソックス専用什器」の全店導入も決定。21年度の取り組みの成果と、22年度から展開する新商品群を紹介しよう。※文中の価格はすべて税込み

    ファミリーマート ソックス専用什器
    新たに導入される「ソックス専用什器」

    「SPAMおむすび」大ヒットで“看板商品づくり”に成功

    ファミリーマートは20年10月に、足立光氏を初代チーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)として招聘。日本マクドナルド在籍時には「夜マック」を打ち出し、同社のV字回復に貢献した大物マーケターだ。また、21年10月には「ファミリーマートコレクション」や「お母さん食堂」などのプライベートブランド(PB)を「ファミマル」として統一。複数あったPBを一つに集約することで、お客の認知度向上を図ると同時に、「クリスピーチキン」や「ファミマ・ザ・メロンパン」などの「看板商品」の育成をミッションとした商品戦略を推進してきた。

    こうした取り組みの結果、ファミリーマートは21年度の既存店売上高において、8月をのぞくすべての月で、前年を上回った。好調をけん引したのは、おにぎりや揚げ物をはじめとする中食商品だ。

    特に売れ行きが良かったのが、21年8月にリリースした「SPAMおむすび」で、販売開始から約1か月で400万個、約4か月で累計販売1000万個を突破した。9月には、不動の人気を誇る「手巻シーチキンマヨネーズ」を抜き、米飯カテゴリーにおいて販売金額で1位を獲得するほどの人気ぶりだった。同社取締役専務執行役員商品本部長の塚本直吉氏は、「21年度は『おむすび』カテゴリーにおいて3月を除くすべての月で前年度を越える売上を記録した。これはひとえに『SPAMおむすび』の好調による」と説明する。(「おむすび」カテゴリーの売上は対前年比8%増)

    ファミリーマート塚本氏
    ファミリーマート取締役専務執行役員商品本部長の塚本直吉氏

    さらに、21年3月から発売している「クリスピーチキン」は、2日間で200万食を突破し、一時は品切れになるほどの好調で、フライドチキンのカテゴリーにおいても、4月をのぞくすべての月で前年度の売上を超えた。(「フライヤー」カテゴリーの売上は同5%増)

    1 2 3

    記事執筆者

    湯浅 大輝 / ダイヤモンド・チェーンストア 記者

    1996年生まれ。シンガポール出身。同志社大学グローバル・コミュニケーション学部卒業後、経済メディアで記者職に就く。フリーライターを経て、2021年12月ダイヤモンド・リテイルメディアに入社。大学在学中に1年間のアメリカ・アリゾナ州立大学への留学を経験。好きな総菜はローストビーフ、趣味は練馬区を散歩すること。

    © 2024 by Diamond Retail Media

    興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
    DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

    ジャンル
    業態