第1回『小売業 キーパーソンに聞く!』第1部
コロナ後を見据えて風雲急
ネットスーパー最新情勢とネット主流時代のメーカー戦略

2022/01/21 18:15
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    コロナ後を見据えて風雲急なネットスーパー最新情勢とネット主流時代のメーカー戦略
    高倉照和氏

    スーパーサンシ株式会社
    常務取締役 NetMarket事業本部長 
    高倉 照和 氏

     

    消費者のアクセス変化に適応することが
    小売業繁栄の最大要因

    50年前、モータリゼーションの大波が訪れ、日本の小売業は大きく変わった。消費者は店に自家用車で訪れるようになり、そうした変化にいち早く対応した企業が大手に成長し、“地方の雄”となった。今や、各社の旗艦店で駐車場のない店はないはずだ。消費者のアクセス変化にいち早く適応することが小売業繁栄の最大要因になる。

    現状、消費者の購買アクセスは車からスマホに移行しつつある。スマホ社会に店がネット対応しないのは、車社会に駐車場を持たないようなものだ。ポストコロナ時代は売上の確保を見据えてネットスーパーを巡る各社の動きが風雲急となる。

    コロナの伸びはネット通販がスーパーをはるかに凌ぐ

    日本ではじめてネットスーパーを手がけ黒字化に成功しネットスーパーのパイオニアとされるスーパーサンシのネット宅配比率は、現在21~23%を推移し、雨天など需要が多い日は40%近くにのぼるという。コロナ禍で、ネット通販の需要自体が著しく伸びている(図表1)。同社もまたコロナ禍で大幅な伸びを示しているが、同社のネットスーパー需要は10年以上前から右肩上がりに推移してきた背景がある。「今後は高止まりし、さらに伸長するだろう」と高倉氏は指摘する。

    店でもネットでも買える「ハイブリッド型店舗」へ

    食品スーパーにとっての稼ぎ頭は、生鮮食品や総菜だ。コロナ以前は「わざわざ送料をかけて生鮮食品をネットで買う必要はない」と考える消費者が多く、「ネットスーパーは儲からない」との見方もあった。しかしコロナ禍により第三者との接触を避けたい消費者は、「生鮮食品もネットスーパーで購入したい」と希望するようになった。「生鮮食品も近いうちにネット主体の購買になる」というのが高倉氏の見立てだ。

    ただし、ネットスーパーと一口にいってもECからBOPIS(Buy Online Pick-up In Store)まで形態は様々だ。「ネットスーパーをするのであれば、スーパーの本流であるネット宅配を手がけるべきだ」と高倉氏。理由は、「売上が段違いに違うから」だと言う。

    「ネット宅配に本腰を入れる場合、初月度で月商650万円、2ヶ月目850万円、3ヶ月目1050万円以上も十分に射程距離である」(同)

    ネット宅配で注文を受けると、基本的に朝の段階で売上が確定する。値引きロス、廃棄ロスは一切無い。そのため粗利率アップが見込めるのだ。将来、同社のネット宅配比率は50%を超えると高倉氏は予測する。店舗はネット宅配の基地となり、「今後、リアル店舗でもネットでも買える”ハイブリッド型店舗”が主流になる時代がくるだろう」(同)

    ネットの世界は圧倒的に先行有利
    県トップを今なら狙える

    立地や売場面積に左右される店舗と異なり、後攻有利にならないのがネットビジネスの特徴だ。大手各社もこれをチャンスと捉え、さまざまな策を講じているが、何もローカルスーパーが、大手の首都圏などの“センター型中心のネット攻勢”を恐れる必要はない。やるべきことはシンプルで、地元のネット商圏だけは、大手より先に制空権を獲得することだ。

    地元商圏は大手とかぶらない「低単価※小商圏高密度を狙うべき」と高倉氏は強調する。この時、生鮮食品や総菜の販促を強化することも忘れてはならない。前述したようにネット宅配は値引きロス廃棄ロスが一切ないため、リアル店舗より1.5-2.0%の粗利アップを実現できる。
    ※ここでは客単価5000円以上を高単価、5000円以下を低単価とする

    高倉氏は、「ネットスーパーの必勝法」を以下の4項目にまとめた(図表2)
    1 サブスク(月会費制)ほど強いものはない
    2 自社配送以外は考えるな。心臓部の配送を委託すれば絶対に儲からない
    3 ロッカー設置で受渡し効率は6倍になる
    4 常に進化するローコスト&ハイスペックアプリが絶対に必要

    オセロの四隅を取れ。実績が裏付けるネッットスーパー必勝法

    繰り返しになるが、ネットビジネスにおいては、圧倒的に先行有利である。その証拠に、スーパーサンシのネットスーパーのシェアは、大手各社を抑えて95%以上だ。リアル店舗で県内売上トップを目指すことは現実的でない店舗でも、ネットスーパーで県内トップを目指すことは可能だ。黒字化が難しいといわれるネットスーパーで長年にわたり黒字を確保し続け、圧倒的なネットスーパー売上を誇る同社は、生活者を地域で支えるローカルスーパーを支えるべく最新のネット宅配プラットフォーム「JAPAN NetMarket」を提供している。

    各プログラムの詳細

    下記画像リンクから、各プログラムの詳細をご覧いただけます。

    ネットスーパー最新情勢とネット主流時代のメーカー戦略 新時代のマニュアルで本部・店舗間のコミュニケーションを変える インタビュー スーパーサンシ 今後の展望
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