オーダースーツをリモート採寸、2週間で納品! コナカの「ディファレンス」ブランドはなぜ業界の常識を覆せたのか?
寸法測り直しは3%未満の精度
とはいえ、オーダーメードである以上、従来はリアル店舗での採寸が必要だった。ところが、ディファレンスは18年11月、東京大学発のITベンチャー企業アリスマーと共同開発した採寸アプリ「D MEASURE」をリリース、リモートでの採寸を実現した。これがコロナ禍で威力を発揮している。
D MEASUREは、必要5項目(身長・体重・性別・生年・好みのシルエット)を入力し、2枚の画像を撮影するだけで、顧客の体型にフィットしたサイズを提案してくれる。「当社が蓄積した採寸データやフィッターの知見を、AIに学習させました。精度は極めて高く、これまで受注しただけでも、数千件以上採寸していますが、測り直したのは数件程度です」(同)。
コロナ禍の影響でオンラインのウエートが高まっている。店頭でも接客している約10人のトップフィッターに、ビデオ通話で質問したり、要望したりできる「オンライン接客ご案内サービス」も20年5月に導入した。
既存客の割合は約半分で、「1着仕立ててみてからと試されて、リピーターになった方が多いですね」(同)。最近ではリモートで完結し、注文から商品配送まで店頭に来ない顧客も増加する傾向にあるという。
ディファレンスは今後、取扱う服の種類を増やし、販路も広げる方針。20年11月にはそごう千葉とそごう横浜、21年春には、大丸梅田店(大阪市)などに相次いで出店した。百貨店のチャネルに力を入れているのは、ミドルの客層を開拓するためだ。「百貨店以外の業態や空白エリアにも、チャンスがあれば積極的に進出し、幅広いお客さまへサービスのご提供をさせていただきます。同時にECの拡大にも注力し、リアルとデジタルの融合したサービスを目指します」と、中嶋氏は力説する。