視認効果は30%以上アップ!パルコのデジタルポスター概念実証でわかった意外な事実
掲示物をメディアとして活用していく
概念実証は、掲示物をデジタル化し、業務効率を図るという方向性で動き出した。
「第一段階では、毎月8日のコスメの日キャンペーンをデジタル化して掲示し、マーケティングカメラを設置して計測することにした」と、実証を担当したパルコデジタルマーケティング コンサルタントの鈴木雅詞氏は話す。
2022年3~8月にまず3テナントで実施した後、その改善案を基に、2022年の9月8日~11月21日に18テナントに拡大して実施した。
第二段階では、パルコポイントに関する掲示をデジタルでテンプレート化し、動きのある動画にすることで、視認性がどれだけ上がるかを試した。実証期間の前半2週間は紙で掲示し、後半2週間はデジタルポスターで掲示。マーケティングカメラを設置し、どのくらいの来店者が掲示物を見ているのかを計測した。
概念実証の結果、実施背景となっていた課題は解決されたのだろうか。「モーション(動き)をつけてデジタル化したことで、視認数は30%ほど高まった。また、掲示物を出力して確認する作業や印刷、設置作業を含めて、平均して1企画あたり5時間を短縮できた。パルコ・出店側スタッフの業務削減につながった」と鈴木氏。
また、意外な発見もあったと続ける。「デジタルの方が見られてはいたものの、紙の掲示物にもしっかりと目を留めている方がいることがわかった。掲示物はただのお知らせではなく、メディアとしての価値をもっている。多くの人が目にするメディアとして、広告出稿を働きかけることもできるのではないか」
さらに、紙の消費量も大きく削減できることがわかったと上岡氏は語る。「年間を通じて掲示している告知の場合、季節ごとに掲示物を差し替えるときはすべて刷り直す必要がある。しかし、デジタルなら掲示物を切り替えるときは、データを差し替えるだけでいい。年間の告知では、全店で1万キロもの紙を使っている。デジタル化すればこれらを削減することができる」