売場が夜な夜な居酒屋に変身!? ユニークすぎる大阪のローカルスーパーに潜入!

2025/10/06 05:00
森本 守人 (サテライトスコープ代表)

大阪・中津の住宅街にひっそりと佇む「goody 中津店」。同店は一般市民の食生活を支える地域密着型の食品スーパーだが、夜になると“居酒屋”へと変身する驚愕の空間なのだった。前編では、そのこだわりの品揃えと店舗の秘密に迫った。後編では、いよいよ自慢の調理サービスを体験する。買った食材がどんな姿となって出てくるのか。その全貌をレポートしよう。

いよいよ「調理サービス」を楽しむ!

「やりたい放題」のインパクト

 われわれの目の前に置かれているのは、さっきまで売場に並んでいた総菜である。お好み焼き、ハンバーグ、ゴーヤチャンプルー、そしてあんこうの肝煮という豪華ラインアップ。いずれも調理場で温め直されており、湯気が立ち上っている。

総菜売場に並んでいたお好み焼き、ゴーヤチャンプルー、ハンバーグ。どれも絶品だ

 早速、お好み焼きを一口いただく。さすが本場の味、うまい。期待以上の味わい。チラと前を見ると、助っ人の編集者も「おいしいっスねぇ」と言いながら、ハンバーグを頬張っている。私は続けて、あんこうの肝煮を食べたが、これも絶品。どれも手づくり感満点で、ビールが進むこと、進むこと。

 これらをつくっているのは、どんな方なのだろうか。純粋な疑問が湧き、八尾店長に尋ねると、快くバックヤードへ案内してくれた。

 そこにいたのは「はっちゃん」という愛称のキュートな女性。聞けば、料理の専門家ではなく、本業はデジタルクリエイターであるとのこと。この店では調理のほか、野菜の仕入れも担当している。英語が堪能で、外国人客の対応も担当可能だそうだ。ほぉ、スゴい。

調理担当の「はっちゃん」。 英語が堪能で、外国人客の対応も担当するそうだ

 テーブルに戻り、編集者と談笑していると、今度は店内に流れる音楽が気になった。よくあるインストルメンタルではなく、どう聞いても1人のアーティストの曲ばかりが聞こえてくる。耳を澄ますと、それはすべて宇多田ヒカルの曲だった。

 不思議に思ってあらためて店内を見渡すと、レジの向こうにDJブースが設けられているではないか。若い男性がヘッドホンを装着し、楽しそうに体を揺らしながら曲をかけている。宇多田ヒカルのファンだそうで、もう「やりたい放題」とはまさにこのことである。

店内の一角にはDJブースが設けられているではないか!もう「やりたい放題」だ

 この方も、本業は別にあって、縁あってこの店の運営に携わっているらしい。「はっちゃん」もそうだが、人手不足の時代にあり、こんなに優秀で個性的な人材が集まってくるとは、このスーパーの底知れない実力の一端を垣間見た気がした。

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記事執筆者

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

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