現役ドラッグストア店員が解説!町田市にオープンしたコスモス薬品「町田根岸店」のここがスゴイ

2022/12/19 05:55
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コロナ禍にあってもなお拡大を続け、8兆5000億円超まで膨れ上がったドラッグストア市場(日本チェーンドラッグストア協会『2021年度版業界推計 日本のドラッグストア実態調査(速報版)』より)。市場拡大にあわせて、ドラッグストア業界ではさまざまな店舗が登場しており、食品強化型のドラッグストアのほか、近年は生鮮食品までを取り扱う「フード&ドラッグ」も勢力を急拡大。足元ではお客の自宅まで取扱商品を届ける「ネットスーパー」ならぬ「ネットドラッグストア」も広がり始めている。
現役ドラッグストア店員の「梨さん」氏が注目ドラッグストアの店舗を実際に訪ね、売場をレポートする本連載。第1回で取り上げるのは、コスモス薬品(福岡県)が東京都町田市に出店したレギュラー店舗「ディスカウントドラッグコスモス町田根岸店」(以下、町田根岸店)だ。現役ドラッグストア店員の目に同店の売場はどう映ったのか。

コスモス薬品
ディスカウントドラッグコスモス町田根岸店の外観

「三和」のドミナントエリアに出店

 今回、訪れたのは東京都町田市にある「町田根岸店」だ。2021年10月23日にオープンした、最寄りのJR横浜線「淵野辺」駅からバスで20分ほど離れた場所に立地する郊外型店舗だ。支払いは現金払いのみ、クレジットや電子マネーの類は一切使用できない。キャッシュレス決済のコストを極限まで抑え、代わりに商品を毎日低価格で提供するEDLP(エブリデイ・ロープライス)と呼ばれる手法をとっている。

 コスモス薬品の情報を集めていく中で、町田市内にコスモス薬品があると知ったとき、筆者は「なんて無謀な地区に出店したのだろう……」と強く思った。

 町田市内には、町田・多摩中心に店舗展開する「スーパー三和」が数多く出店している。運営企業の三和(神奈川県)は半径1.5km商圏を埋め尽くす“超ドミナント戦略”を志向し、「町田」駅前から住宅街、郊外まで幅広く店舗網を築いており、町田市で暮らす人々に深く根付いている。

 食品の取り扱いを強化し、成長してきたコスモス薬品でも、50年以上地域と寄り添い続けた実績のある三和とこの先競い合っていくのはきっと難しいだろう……と思っていた。食品強化型のドラッグストアであるコスモス薬品は、地域密着型スーパーの三和にどう対抗していくのか、それぞれの店に足を運んでみて得た気づきを分析してみたい。

買物時間が豊かに? 圧巻の冷凍食品売場

 「町田根岸店」を訪れてまず感じたのは、圧倒的な低価格と品揃えの強さだ。コスモス薬品は、ポイントカードシステムを撤廃しているので、浮いたコストを価格に反映しているのがよくわかる。筆者自身、町田周辺に住んでいたことがあるが、売場を見ていて「あれ……三和より安い…」となることもしばしば。地域の暮らしを助ける魅力的な価格設定のため、その場で個人的な買い物もしてしまった(最寄りのドラッグストアよりも断然安かった)。 

 食品については、冷凍食品にとくに力を入れており、店内には大サイズの冷凍什器を8台設置、壁一面を冷凍食品に割いていて、スーパーマーケットに引けを取らないレベルの売場であるように感じた。

 長年ドラッグストアに勤めている経験則から言えば、ドラッグストアの冷凍商品売場はどこの店も小規模であり、取り扱う商品にも限界がある。取り扱う品数も冷凍うどん、チャーハン、パスタ、ギョーザ、ロックアイスを1種類ずつ扱えれば十分、というレベルだった。

 一方、コスモス薬品の「町田根岸店」は、(店内規模がもともと大きいこともあるが)「食品コーナーのメインは冷凍食品です」とアピールするくらいに冷凍食品売場を大きくとっている。注目したいのは、売れ筋に絞って必要最低限の品目を仕入れるのではなく、総菜・チャーハン・パスタ・冷凍うどん・一品ものなどを数種類仕入れている点だ。幅広い総菜ジャンルと品数で勝負しているので、売れ筋以外の商品もしっかりあるし、商品を選ぶ楽しみをつくってくれているので買物時間も豊かになる。小さめのドラッグストアではそうはいかない。「売場が大きい」という店舗特徴を有効活用していて大変好感が持てる食品コーナーだった。

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記事執筆者

4年制大学卒業後、某ドラッグストア企業に入社。現役ドラッグストア店員。医薬品登録販売者資格保有。売場の魅せ方や販促物の使い方など商品展開に興味を持ち、ドラッグストア巡りを始める。趣味:ドラッグストア巡り、映画鑑賞。

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