オーケー(神奈川県/二宮涼太郎社長)は10月17日、東京都中央区に「オーケー銀座店」(以下、銀座店)をオープンした。東京都でも高級店が並ぶ注目エリアへの大型店の出店で、今後の店舗網拡大の足掛かりとなる、同社を代表する店舗となることをめざしている。なかでも注目したいのが、商圏特性に対応するべく、既存のオーケーの店舗ではみられない商品や売場づくりに挑戦している点だ。本稿ではそんな銀座店ならではの取り組みにクローズアップし、写真とともにレポートする。
銀座でも価格は
「地域一番の安値」を追求
オーケーが開業したのは、JR京浜東北線・山手線「有楽町」駅から南東へ約300mにある商業施設「マロニエゲート銀座 2」の地下1・2階。ファーストリテイリング(山口県)が運営を手掛け、グローバル旗艦店「UNIQLO TOKYO」を展開する商業施設内に、2層合わせて売場面積約2140㎡の大型店を出店した。年商目標は非公表。
施設周辺は、高級ブランドショップが軒を連ねるほか、商業施設や百貨店が営業し、訪日観光客も多く訪れる。また、オフィスも立地するエリアで、ビジネスパーソンのランチニーズや、帰宅時の買物需要も見込める。
オーケーは、ワンウェイを基本とする売場レイアウトや品揃えなど、標準化によるスケールメリットを追求する企業として知られる。
銀座店でも、基本的にその方針は同じで、品揃え、売場構成、価格帯、取扱品目数は既存店と大きく変えていないという。とくに価格は「地域一番の安値」を掲げるオーケーの価格政策を、高級店街である銀座でも実践していくことで話題となり、多くのメディアでとり上げられた。
一方で、同店の立地特性に対応した、既存店では見られない売場づくりや「銀座店限定」商品が見られるのが特徴だ。こうした売場・商品づくりによって通常のオーケーより広域からの集客を図る。
訪日観光客向けの
エンタメ感ある売場づくり
まず売場づくりについては、訪日観光客の獲得をねらった試みを行っている。壁面一面で人気の菓子を大量陳列したり、吊り下げ陳列したりと、訴求力のある売場づくりを実践している。また、地下1階レジ前ではショーケースを設置し、近隣の飲食店の購入も見込み、「ドン・ペリニヨン」などの高級酒類ボトルを展示販売している。
食品だけでなく、人気のフェイスマスクや洗顔料などのヘルス&ビューティケア用品や、日用品、医薬品、さらには、インスタントカメラやSDカードなどの電子機器も揃える。なかでもドラッグストア商材は、近隣の競合店を調査し価格対応をしているという。
日用品売場では、オーケー限定商品を大きくコーナー化していた。エステー(東京都)のデザインにもこだわった玄関・リビング用デフューザーシリーズ「Natulief(ナチュリーフ)」から、日本原産の天然植物油を配合した香り「北海道トドマツ」「清見オレンジ」をオーケー限定の香りとして発売。売場のPOPでは英語と韓国語を添えて「日本の自然の香気をお土産に!」 とアピールしている。
百貨店並みに
素材にこだわる総菜多数
銀座店の開業に向けて開発した「銀座店限定」商品については、とくに総菜・ベーカリー売場で多く投入されていた。なかでもオーケーの二宮涼太郎社長が代表的な商品として挙げたのが、黒毛和牛のA5等級のリブロース肉を使った「すき焼き弁当」(税抜970円:税抜・会員現金払い価格)だ。
オーケーは、A4・A5等級に格付けされた黒毛和牛を1頭単位で買い付けている。そのため精肉部門では、希少部位を含めて幅広い黒毛和牛の品揃えを提供している。そんなオーケーの強みを打ち出した商品であり、POPによると、店内の精肉部門で素材をカットし、青果部門の肉厚のしいたけとともに、焦がし醤油を使用したザラメ入りの甘めのタレで煮込んでいるという。
「ロースかつ重(カナダ産三元豚使用)」をはじめ299円の弁当や丼を人気商品に持つオーケーのなかでは高価格帯となるが、同様の素材を使ったデパ地下の商品などと比較すればお得感がある。
そのほか弁当では、米国産牛の希少部位・トモサンカクを使用した「ローストビーフ重」(599円:税抜・非会員価格)や、厚切りの鮭にこだわった「THE鮭弁当」(388円:税抜・会員現金払い価格、以下同)などを銀座店限定商品として揃えていた。
弁当だけでなく総菜でも、徳島県産の阿波尾鶏と使った「阿波尾鶏のローストレッグ」(679円)など、素材にこだわった銀座店限定商品を販売する。
また特徴的だったのが、若い世代を中心に人気の高まっているアジア料理のメニューを、銀座店限定商品として積極的に開発していた点だ。たとえば、ベトナムを代表するメニューの生春巻きの「パクチー」や「海老」(各388円)などのほか、中華メニューでも「焼小籠餃子」(388円)などを訴求していた。
ベーカリースイーツも投入
サステナブルな商品も
インストアベーカリーでも、想像より多く銀座店限定商品が投入されていた。
たとえば売場の目立つ場所では、フランスパン専用粉と酵母にサワー種を加えた独自配合の粉を使用する「銀座バタール」(164円)や「銀座バゲット」(214円)を販売する。
オーケーの看板商品の1つになりつつある焼き立てピザでも、銀座店限定メニューとして「きのことベーコンのトリュフソースピザ」(ホール1枚・約30cm729円、4分の1カット185 円:税抜・非会員価格)を提案していた。
また、ベーカリー売場導入部の目立つ場所に冷蔵ケースを設置。手作りのサンドイッチやスイーツの銀座店限定商品を訴求していた。
サンドイッチでは、ベーグルサンドの「照り焼きチキン&たまご」と「ベーコン&たまご」(各263円:税抜・会員現金払い価格、以下同)や、クロワッサンサンドの「ごぼう&チーズ」(260円)、「ローストビーフ&黒オリーブ」(290円)など、使用するパンや具材に特徴を持たせた商品を提供している。
手作りスイーツは昨今、食品スーパー各社が開発に注力している商品だ。
銀座店では、「タルト」「フルーツコッタ」「モンブラン」(各388円)などを販売。素材に旬のフルーツを使用した商品を中心に開発し、売場で存在感を放っていた。
そのほかスイーツでは、カボチャ煮などの和総菜が並ぶコーナーでも「さつま芋と南瓜のぷりん(特製カラメル付き)」(349円)を銀座店限定商品として販売。野菜天ぷらの端材を活用した商品で、食品ロス削減など、サステナビリティにも配所した商品開発を行っている。
このようにオーケーが多数の新たな試みに挑戦している銀座店。その取り組みからはオーケーの売場や商品の着実な進化が見られ、これらは既存店や今後の出店において、オーケーの競争力をさらに底上げすることにつながりそうだ。
【店舗概要】
オープン日:10月17日
所在地 :東京都中央区銀座3-2-1 マロニエゲート銀座2 B1・B2
営業時間 :8:30~21:30
売場面積 :2140.40㎡(647.47坪)
駐車台数 :194台 (マロニエゲート銀座1:78台、マロニエゲート銀座2:37台、マロニエゲート銀座3:79台)