初の単独路面店オープン!ビックカメラの”試せる”酒類専門店の全貌
ビックカメラ(東京都/秋保徹社長)グループで酒販事業を展開するビック酒販(東京都/小堺絢介社長)は7月24日、東京都武蔵野市に同社初となる単独路面店「ビックカメラお酒屋吉祥寺店」(以下、吉祥寺店)をオープンした。家電量販店「ビックカメラ」内の酒類販売事業を中心にしてきたビック酒販は、どのように「お酒屋」を成功に導くのか。吉祥寺店の売場づくりをレポートする。
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約3300種類の品揃えで新たな顧客開拓へ
吉祥寺店はJR中央線「吉祥寺」駅北口側の商店街「吉祥寺ダイヤ街」のアーケード内に位置する。23年12月まで営業していた「マツモトキヨシダイヤ街店」の跡地に出店した。
同商店街は「吉祥寺」駅から徒歩2分ほどで、雨の日でも快適に買物ができることから、平日・休日を問わず、多くの人が往来する。
ビック酒販の小堺社長は「酒類販売店の商圏は狭いため、日常的に利用できる立地であることが重要になる。吉祥寺は近隣居住者に親しまれ、活気のある街。幅広い年齢層の方々が日常的に利用するため、この地を選んだ」と語る。メーンターゲットとなるのは、2~3km圏内20〜40歳代の近隣居住者だ。
吉祥寺店の店舗面積は約460㎡で、地下1階から地上3階までの4フロア構成となっている。ビックカメラ内の酒類売場がワンフロアでの展開であるのに対し、多層階構成であることを生かし、地下1階にワイン、1階にウイスキー、2階にリキュールといった具合に、各カテゴリーの酒類をフロアごとに展開。定番品から珍しい銘柄まで幅広い品揃えで、約3300種類の酒を販売する。
酒類を買い慣れない若年層にフォーカスした施策も見られる。ソムリエの資格を持つ販売員による接客、角打ち・試飲スペースや酒関連のイベントなど、体験型の売場づくりを重視。細かな商品説明と試飲で購入までのハードルを下げ、新たな顧客の開拓をめざす。
小堺社長は「『高価な商品の買物で失敗したくない』という思いに応え、“試せる”売場づくりによって、ほかの酒類販売店と差別化する」と説明する。
バーカウンター設置で座りながらの試飲が可能に
フロアごとに売場を見ていくと、地下1階は、ワイン、シャンパン、日本酒、焼酎などの酒類専門の売場とした。初心者でも手が届きやすい価格帯(~1000円)のワイン、飲みやすい発泡性の日本酒を揃える一方で、1本15万円を超えるワインなど高価格帯の商品もラインアップ。幅広いニーズに応えるという「お酒屋」の方針を体現した商品構成とした。


1階は注力カテゴリーであるウイスキーのほか、ビール、酎ハイ、食品などを取り扱う。ウイスキーは、銘柄に応じた金額(100円~300円)を支払うことで1人3杯まで試飲できるサービスを行っている。

2階では、リキュールやスピリッツなどを扱う。また、ワインセラー、炭酸水メーカーなど、酒類に関連した家電製品も販売。とくに吉祥寺店ではワインセラーの品揃えに注力しており、「ソムリエがワインセラーを案内する、という『お酒屋』ならではのサービスを提供できる」と、小堺社長は自信をのぞかせる。

2階の売場奥では、7席あるバーカウンターを設置し、常時50種類以上のウイスキー、リキュールなどを座って試飲できるサービスを行っている。試飲カウンターはコロナ禍以前、7店舗で導入していたが、感染症対策により中止していた。そうした中でお客からは再開を望む声が上がっていたという。そこで今回、初の単独路面店オープンに合わせ、試飲カウンターの復活・導入に至った。
このバーカウンターでは7月24日から8月7日にかけて、オープンイベント「テイスティングチャレンジ」と題した企画を実施している。この企画は、参加費1000円でウイスキー3種を銘柄を伏せて提供し、飲んだ後に銘柄を当てるとお酒屋オリジナルのお猪口をプレゼントするというものだ。
3階はセミナールームとして、ソムリエの資格を持つ専門販売員が、ワインに関するセミナーを開催するほか、セミナールームを拠点としてSNSから情報発信などを行う。また、部屋の貸出も行ない、お酒を通した地域の発展に貢献していく。
これらの取り組みにより、吉祥寺店は初年度売上高2~3億円をめざす。なお、24年8月期のビックカメラの酒類・飲食物の販売は対前期比22%増の77億円で、そのほとんどビック酒販が占めるという。同社は、年間売上高100億円の達成を27年度までの目標に掲げている。
小堺社長は「活気のあるダイヤ街商店街で、地域の方々と一緒に店育てていく」と意気込んだ。






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