オオゼキ屈指の”強豪店”・旗の台店をリニューアル直前に訪れると…
スーパーマーケットのアプリをダウンロードする際、基本的に自分が行く店舗を登録するものですが、オオゼキに関してはすべての店舗を登録しています。
しかしながらチラシの情報などはどの店舗も大体同じなので、毎日熱心にアプリを確認することもなく日々過ごしておりましたが、「旗の台店」の閉店情報を目にした時は「見逃さなくて良かった、危ない危ない……」とほっと胸をなでおろしました。
閉店と言っても店がなくなっちゃうということではなく、リニューアルのための一時閉店ということなので、悲壮感などなく旗の台へ。リニューアル後、どこをどうリニューアルしたのかを味わいたいので、リニューアル前の店舗を体感するのはとても大事なのです。出世前の芸人を贔屓にするお客さんの気持ちと近い感覚かもしれません。
さて、現地に行ってみると「閉店セール」が行われており、なかなかな混みようだったですが、のちにこの店舗がオオゼキ屈指の売り上げをたたき出している”強豪店”であることを知り、「あの混雑は割と平常運転だったのか」とびっくり。
オオゼキは店内アナウンスが多いように感じます。マイクを持って店に並んでいる商品を取り上げ「なぜこの商品を売りたいと思っているのか」という気持ちがこちらに伝わってくるような、熱のこもったパフォーマンスが多く見られるのです。
…なのですが、この旗の台店の店内アナウンスは他店とはちょっとレベルが違う。
私が行った時は、サンマを並べながら「今日のサンマの値段はバグってるよ!バグってる!バグってる!バグってる!」とか「はい!切りたて切りたて切りたて!」と切りたての豚バラ肉を数人の店員さんが勢いよくバッグヤードから運んで来たりと、次から次へと威勢のいい声が飛んできました。
後日、テレビ東京の人気番組「アド街ック天国」で旗の台店が紹介され、時間を決めて声出しを行うのは恒例行事になっていることを知りました。番組では「自分が売っているものがどういうものなのかを口に出すことにより、それを扱う責任感のようなものも生まれるだろう」といった考えから定例化した旨をお店の方が話していましたが、私はもう一つ大きな意味があると思いました。
それは、声出ししながら商品を並べたり陳列を整理したりしている店員さんには、お客側から声をかけやすいということ。
商品について聞いても「えっと…ちょっとわからないので担当の者を呼んできます」的な感じで待たされたりするのは案外ストレス。誰が何の担当なのかがお客の目からわかれば、声を掛ける人を選ぶことができるし、商品を売ることに積極的な店員さんであれば、たとえ待たされたてしてもすぐに対応してくれるだろうという期待感があるので、ストレスがないのです。
リニューアル後にまた訪れて感じた、「足並みを揃えない」ことの大事さ
そして数週間後。リニューアルを果たした旗の台店を早速訪問しました。
まず感じたのは、「店内が明るい!」 もしかしたら明るさを工夫するのはスーパー業界における昨今のトレンドなのかもしれないけど、もともと活気があった店内が、さらに明るい雰囲気に進化していました。
私がもう1つ売場で注目したのは、豊洲で仕入れた魚を使った寿司の販売が始まっていたこと。私のようなオオゼキファンの皆様ならご存じかと思いますが、オオゼキの寿司は、同社と同じく世田谷に本店を置く名店「美登利寿司」がテナントとして入っている店と、そうでない店に分かれます。
以前「菊川店」を訪れた際に「豊洲直送」を謳った寿司を販売しているのを見かけて、「美登利寿司でなくても、店でいい寿司をつくって販売すればいいじゃん!」という店長の判断で始めたのかしら……などと勝手な妄想をしていたことを思い出しました。
菊川店が最初じゃないかもしれませんが、いずれにしてもどこかの店が先陣を切って自ら寿司の販売をはじめ、そのノウハウウを他店に共有する……その結果が旗の台店にも波及したということでしょうか。
落語の世界に身を置く私としても感じますが、「みんなで集まって話し合ってから、足並み揃えてやっていきましょう!」みたいな仕事の進め方、大事なのかもしれないけど、大事じゃないことのほうが多い気がする……。
原点に立ち返る「八百屋」を出店!?
そんなふうにオオゼキについて思いを巡らしているさなか、幡ヶ谷にオオゼキが運営する八百屋・「大関屋青果店」が誕生するということを知りびっくり。わたくし初台に住んでいるので、幡ヶ谷は超生活圏内なのです。店内の様子について詳しくは、一番弟子・立川のの一が描いたイラストレポート(下)をご参照ください。
ちょっと調べてみると、オオゼキはもともと八百屋からスタートしたようで、原点を見つめ直す意味も含めて青果部の有志が出店を決めたとのこと。やりたい人たちが、やりたいことをやる。本部からの指示に渋々従うようなことがない。こういう組織体制は、その企業にとってとても良い結果をもたらすような気がするのです。
「持ってるものを活かさないでどうする!」
今、落語立川流の運営で四苦八苦している私にとって、オオゼキは買物を楽しむ場所というだけでなく、心の支えでもあるのです。
立川志ら乃
1974年2月24日生まれ。98年3月、立川志らくへ入門。2012年12月に真打ち昇進。16年7月に「スーパーマーケットが好きである」ことを突如自覚。スーパーに関する創作落語に「グロサリー部門」「大豆なおしらせ」など。寄席やイベントなどのスケジュールは下記Twitter・ブログをご参照ください。
Twitter:@tatekawashirano