「大競争時代」チェーンストア躍進のヒントはここにある 『売れる化』著者・本多利範氏の「本多塾」開講!=第1回開催レポート
講演2 ライフがめざす日本一のスーパーマーケット
株式会社 ライフコーポレーション 取締役専務執行役員
並木 利昭 氏
足元半径1㎞のシェア率アップねらう
食品スーパー「ライフ」を運営する当社は、270店舗を展開する全国有数の食品スーパーチェーンに成長した。1910年に創業した当社の2019年2月期の営業収益は6986億円、経常利益128億円と好調に推移している。
当社の基本戦略は「足元半径1㎞のシェア率アップ」。地域ごとのニーズ把握と迅速な対応により、足元商圏のシェアを10%から11%以上へ伸ばすことを目標としている。
第6次中期経営計画(2018年度~2021年度)では、「ライフらしさ」を実現するためのアクションとして「お店が主役」を掲げ、人、店、商品への投資と、ネットスーパー、カード、インフラに関する戦略を策定している(図表①)。
まず、「お店が主役」とするため、本部のスーパーバイザーを店舗に回すなど、100名規模の大胆な配置転換を実施した。店舗に権限委譲を行い、本社指示を削減した。また「お客様座談会」の実施や、店長の意思で有効活用できる店長裁量費の活用といった取り組みも行っている。
「人への投資」では既存店のパートナー採用強化、処遇改善、新店人員確保のため、60億円を投資。人財育成の一環として経営塾(次期経営幹部の人材育成)、店長塾、副店長塾、その他研修を実施することで一人ひとりの能力を高め、強靭な組織を作り上げる。また、女性活躍推進のため、時短勤務者でも意欲・能力次第で管理職として抜擢している(図表②)。
外国人技能実習生の採用にも力を入れ、現在はベトナム、タイ、ミャンマーから343名がプロセスセンターなどで活躍している。
店舗や商品、インフラも強化
「店への投資」では2019年2月期には約155億円を投資し、10店舗を新規出店、12店舗を改装した。近年力を入れているのが超都心型店舗へのチャレンジだ。「ムスブ田町店」は、JR田町駅直結、高層オフィスビル1階という立地への挑戦だったが、オープン2カ月目で黒字化を達成した。ライフらしさを具現化した新旗艦店「桜新町店」も好調に推移している。また、「神戸駅前店」や「なんば店」など、ニーズの変化に対応した既存店活性化にも挑戦。19年4月には新業態『Miniel』の展開を開始している。
「商品への投資」では、PB開発を強化。現在、5ブランドを展開するが、中でも「ライフプレミアム」「ライフナチュラル」は前年比2桁増で伸長している(図表③)。総菜部門でも「純和赤鶏むね唐揚げ」やPB「贅沢なあご入りおだし」を使用した「肉じゃが」など、看板商品の育成や商品力強化による圧倒的な差別化を実現する。
「ネットスーパー・カード戦略」については、セイノーホールディングスとの業務提携により配送力を強化。また、アマゾンのプライム会員向けサービス「Prime Now(プライムナウ)」 にも出店する予定(註:9月12日より東京都内7区にてサービス提供開始)で、21年度までにネットスーパー売上100億円をめざす。
「カード戦略」では自社型電子マネー「LaCuCa」は約360万人、自社クレジットカード「LCカード」は約33万人と順調に利用者数を伸ばしており、20年に「LaCuCa」460万人、「LCカード」50万人を目標としている。また7月より「PayPay」「LINE Pay」「メルペイ」を試験導入、お客様の利便性向上に努めていく。
「インフラ戦略」では18年11月に大阪平林総合物流センターを稼働。首都圏は川崎総合物流センターを17年6月に稼働し、首都圏200店舗体制を構築済みであり、さらなる飛躍に向けて400店舗体制までの基盤を整備していく。
浸透・発展と継続活動としてファンイベント「ライフフェスタ」を開催。またライフらしさを具現化した好事例を全店の代表パートナー約500名の前で発表する「スマイルワークショップ」を通じ、全店舗のレベルアップを図っていく方針だ。