「大競争時代」チェーンストア躍進のヒントはここにある 『売れる化』著者・本多利範氏の「本多塾」開講!=第1回開催レポート

2019/09/27 17:00

 少子高齢化や人口減少など、日本の小売業は年々厳しくなると見込まれている。モノがあふれ、消費者の嗜好が多様化するなか、いかに消費者のニーズを汲み取って、ヒット商品や繁盛店を生み出していくか。

 この「本多塾」では、変化対応力と価値創造力を養成し、厳しい競争環境でも生き残るためのヒントを提供していく考えだ。本多コンサルティング代表取締役社長の本多利範氏を塾長に、ライフコーポレーション専務取締役執行役員の並木昭利氏に迎え、8月1日に第1回「本多塾」が開催された。

本多塾会場イメージ

講演1 小売業を取り巻く環境変化と小商圏での戦い方

株式会社 本多コンサルティング
代表取締役社長 本多 利範氏

中食の強みとコンビニの課題

 今回は1回目ということで、小売業を取り巻く環境変化についての認識を共有し、今後、本多塾がめざす商品開発や店舗展開の方向性を示していきたい。

 少子高齢化や有職主婦の増加などを背景に、中食産業が成長を続けている。

 中食の強みは①「チェーンのオリジナル性をアピールしやすい」、②「客層、時間帯、曜日別の利用目的、商圏等が仮説検証で見える」、③「発注レベルの向上により競合対策ができる」、④「併買率が高く客単価アップにつながる(他カテゴリーを牽引)」、⑤「季節感を演出できる」、⑥「購買頻度が高く、目的買いとなり来店頻度向上を促す」、⑦「利益率が高く店舗の利益を向上させる」、⑧「時短・個食化に対応できる」といった点が挙げられる。チェーンの特徴を出しやすく、流通業最大の武器ともいえる。

 これまで週に約80アイテム、1年で約3800の商品を改廃し、売場の鮮度アップに努めてきたコンビニだが、近年は食品スーパーをはじめ、デリカ専門店、コーヒーショップ、ベーカリー、ドラッグストア(DgS)といった他業態がさまざまな商品を出してきたことで、コンビニの商品が没個性化し、業態として地盤沈下が始まっている。

 中国でも同じようなことが起こっている。GDPは2017年以降横ばいとなり、物価も上昇したことで物価指数も横ばいだ。GMSなどの大型店は苦戦し、EC最大手のアリババも300坪型の小型店や朝食需要を取り込む新業態のテストをスタートさせている。中国でも都市型小型店や小商圏型のビジネスが今後増えていくだろう。

 現在の流通業は商品も人手も色々なところで問題を抱えている。今後、少子化・高齢化が進み、店舗間競争が厳しくなると、足元商圏でお客の支持を獲得できなければ、生き残るのは難しい。小商圏型のビジネスを成功させるには、事業を再定義し、利益の持続的成長や生産効率の向上を改めて考える必要がある。

 現在、都市型小型店の代表であるコンビニ、DgS、小型スーパーの1店舗あたりの商圏人口は、コンビニが1700~1900人に対して、DgSが1500人前後、小型スーパーが1500~2200人程度と、コンビニとそれほど差がない。

 このように、同じ小商圏で戦う他業態が増えた以上、コンビニも食を中心にインフラ、品揃え、店舗、価格、売場の改革が必要となる。

売れる商品開発には3つの手法がある

 コンビニの販売総額11兆7000億円の内訳をみると、ファーストフードと日配品で4兆4000億円、加工食品3兆1600億円、非食品3兆5000億円となっている。魅力のある品揃えのポイントとして挙げられるのが「3階建てマーケティング」だ。

 3階は「専門店を超えるおいしさのある商品」をテーマとし、少しだけ特別な自分へのご褒美としてのプチ贅沢な本格品、ハレの日対応をめざす。

 2階は「この店オリジナルで選び甲斐のあるおいしさのある商品」をテーマとし、バラエティさや旬の味が楽しめることや、見た目も楽しく手に取る喜びを感じられるような商品開発が目標だ。

 1階は「毎日食べたい定番のおいしさのある商品」がテーマ。お客様の来店目的となる差別化されたおいしさ、いつ食べても飽きないおいしさが着地点となる。

 小商圏では社会性や地域性、生活密着にも目を向ける必要がある。実際に、北海道のセイコーマートは小商圏対応で成功した勝ち組のコンビニであり、2019年度「JCSI(日本版顧客満足度指数)」コンビニ部門のすべての項目で1位となっている。

 小売業を取り巻く環境は少子高齢化や人口格差、温暖化などに加え、消費税増税や東京オリンピック後の景気後退といったさまざまな課題を抱えている。2020年代の顧客変化や競争環境の変化に対応するためにはルールチェンジが必要であり、魅力ある商品の開発、つまり「商品の売れる化」が必須となる。

 売れる商品開発には、①「問題解決型」、②「組み合わせ型」、③「水平思考型」の3種がある。

① 「問題解決型」は現在の商品、製法をすべて否定することから始め、お客様の「負」の部分を解消する開発方法。具を増やすなど、既存商品の問題解決が新しい商品になる。

② 「組み合わせ型」は、既存の商品を組み合わせて今までにない新しい商品を作る方法。市場にない商品や製法を取り入れることがポイントとなる。

③ 「水平思考型」は既存の理論、枠にとらわれず新しい商品を作る方法。発想の転換や切り口を変えることが求められる。

本多塾2回目以降において、「商品の売れる化」について具体的に解説していきたい。

1949年神奈川県生まれ。明治大学政治経済学部卒業。大和証券を経て、1977年セブン-イレブン・ジャパン入社。1996年、同社の最年少取締役に就任(取締役食品部長、当時)。98年に渡韓し、ロッテグループ専務取締役として韓国セブン-イレブンの再建に従事。帰国後、スギ薬局専務取締役、ラオックス代表取締役社長、エーエム・ピーエム・ジャパン代表取締役社長などを歴任。2010年よりファミリーマートにて常務取締役員として新規事業を担当、15年より取締役専務執行役員・商品本部長としておにぎりや弁当など多くの商品の全面改革に取り組む。17年に取締役専務執行役員・社長補佐就任、ユニー顧問を兼務。18年に株式会社本多コンサルティングを設立。著書に『売れる化』『おにぎりの本多さん』(プレジデント社刊)など

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