既存店の数字が良い企業は実践!競合スーパーが進出しても影響を受けない方法

構成:塩原淳男
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自店のすぐ近くに競合店が進出してくる。よくある話だ。とくに食品スーパー(SM)の青果売場は価格競争に巻き込まれやすい。しかし「競合対策」の意味を勘違いしてはいないだろうか。今回は正しい競合対策の考え方と効果的な戦い方を解説しよう。

対策は半年前から自店のMDを再構築

 競合対策とは何か。それは自社または自店の商品政策(MD)を見直し、刷新し、高度化することで、地域のお客さまにいっそう支持される売場をつくることである。本来、競合店は一切関係ない。

 競合店が出店してくるのは自店のマネジメントレベルが低下しているからだと考えていい。「あの店の隣に出店しても売れない」と思うなら競合店は出てこないはずだ。

 実際に競合店が近くに進出してくると「競合店を見に行って、売価を合わせること、相手の品揃えを自社にも取り入れることが競合対策だ」と勘違いして、自店のMDを無視して、価格や品揃えを包み込もうとしてしまう。

 相手の土俵に上がって、競合店に合わせてしまったら絶対に勝てない。それが大前提だ。

 競合店の出店は約1年前にうわさが出て、半年前には開店時期が確定する。半年前から競合対策を始めるとすると、やれることはたくさんある。

 最初の3カ月は自店のマネジメントレベルを引き上げる作業だ。基本項目をチェックしよう。接客はきちんとできているのか、身だしなみはどうか、クレンリネスのレベルはどうかを見直し、不十分な点は一からやり直そう。

 MDについても生鮮売場であれば鮮度がよくて欠品がない状態を実現すること。目標値を決めながら、やるべきことをテーマ別に切り分けて、自店の売場をつくり直すのだ。

 内部に向けた基本項目の検証と再構築が済んだら、残りの3カ月で自店の売上を上げていく作業に移ろう。

 競合店ができれば売上は落ちる。競合店の進出によって売上は1割落ちるのか、2割なのか、その影響度を分析するのだ。売上が前年に比べ2割低下すると利益の確保が厳しくなる。そこで「2割減」の前提なら3カ月で売上を「2割増やす」ことを考える。その結果、2割影響を受けて昨年並みの100%に売上を落ち着かせるのである。

 競合店が開店する前に地域のお客さまにもう一度支持してもらえる体制づくりをすること。これが本当の競合対策であり、対策全体の8~9割を占める。

 いちばん悪いのは他社のMDを後追いし、売価を合わせること。これは利益を落とすだけで何のメリットもない。

SMの競合店対策イメージ
SMの競合店対策とは、自店のMDを刷新し、お客さまにいっそう支持される店にすることだ(写真はイメージ、tdub303/iStock)

最終目標は競合店を赤字にする

 競合対策の最終ゴールは競合店を赤字にすることだ。相手の売上が上がろうが、客数が増えようが関係ない。目的は相手を赤字にすることだから、赤字で売る商品は相手にどんどん売ってもらえばいい。

 相手が経営できなくなれば、2、3年で撤退せざるを得ない。自店はつられて安くして赤字になっては絶対にいけない。「目先の賑わい」に心を奪われないことだ。

 だから競合対策は相手のオープン前に自店のMDがしっかりつくり上げられたか否かでほとんどは決まってしまう。

 そこでお客さまに「この店のほうが買いやすくて、欲しい商品がたくさんある」と再度信頼してもらう。競合店ができて影響を受けても、お客さまに戻ってもらえる。それがいちばんの対策になる。

 野菜は目玉商品にされることが多い。1円の価格差を争うことは絶対にやってはいけない。私はSM勤務時代に競合相手が見に来ても「お前は行くな」と部下に言っていた。

 ただし、

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