マツキヨココカラ「matsukiyo」はただのPBじゃない!込められた重大な「戦略」とは
従業員に好かれることから始まる
「MK CUSTOMER」から、新ブランド「matsukiyo」への切り替えを浸透させるために同社が最重要ととらえていたのが、社内向けの「インナーコミュニケーション」だ。
「本部でいくら立派なコンセプトを構築していたとしても、それをお客様に伝える『店舗』での理解が進まなければ絵に描いた餅に終わる。まず、従業員に『matsukiyo』を好きになってもらう必要があると考えた」(櫻井氏)
そのため、各地で従業員を集めてブランドセミナーを実施、「カタカナロゴ『マツモトキヨシ』の斜角度19度の斜め線を『マツキヨスラッシュ』と呼びデザインに取り入れた、右肩上がりに斜め前に力強く進み続けるという意思を込めている」といったことを説明して回った。さらには、ブランドブックの制作、社内報での特集企画など、さまざまな施策を打っていった。
そうしたなかで現在も継続して取り組んでいるのがPB商品開発プロジェクトだ。日常的な顧客接点のある店舗からの人材を含め、メンバーを1年ごとに社内公募で募集する。毎年50名から80名規模が集まるという。
「店内には2万SKUもの商品がある。従業員はそのことをよく理解しているが、お客様から『こんな商品はありませんか』と聞かれ、『そういえば、そのようなご要望にお応えする商品がなかった』と気づくこともある。それこそが商品開発の最大のヒントになる」(櫻井氏)
マツキヨココカラでは、競合する他のドラッグストアチェーンが店舗フォーマットの統一化を進めているのとは異なり、さまざまな立地や店舗面積に応じた店舗づくりを続けている。そして、そうした店舗を利用する顧客とのコミュニケーションを、自社アプリ、LINE、カード会員といった幅広い顧客接点を通じて強固なものにしてきた。
「実はこのことが、われわれの商品開発戦略において、重要な意味をもっている。同じような立地や規模の店舗ばかりだと、顧客の購買行動や、そこから得られる顧客の趣味嗜好は絞り込まれる傾向が強いが、当社では、マスデータからこぼれ落ちるような顧客ニーズを拾い上げることができる」(櫻井氏)
敏感肌向けのスキンケアシリーズ「レシピオ」は、まさにそこから生まれたPB商品だという。