アメリカ最大級の自然食品展示会でも大注目!これから来る「機能性飲料」とは
南カリフォルニアで3月4日から7日まで開催されたNatural Products Expo West 2025。アメリカ最大級の自然食品の展示会で、自然食品、オーガニック食品、飲料、ビューティ、ホーム用品など、3,200社が出展し、今年の来場者は7万人にのぼった。この展示会で見られた、今後日本でも注目されそうな新たな食トレンドを紹介したい。
売上急拡大する「機能性飲料」

Natural Products Expo West 2025の出展社で、情報・調査会社ニールセンIQのウェルネス部門副社長シェリー・フレイ氏によると、今のトレンドは、「機能性飲料」だという。
ニールセンIQのデータによると、アメリカの機能性飲料は、2024年3月までの1年間の売上が92億ドルに達し、20年3月までの1年間の売上と比較して54%も拡大している。機能性飲料は現在、アメリカのノンアルコール飲料市場全体の約10%を占めている。調査会社プレセデンス・リサーチ(Precedence Research)社の昨年のリポートでは、世界の機能性飲料市場は2034年までに、今からほぼ倍増の4370億ドルになると予測されている。
最近注目を集めているのは、ストレスや疲労に対する体の反応を助けることが示されている植物や、キノコのアダプトゲン(ストレスに対する身体の抵抗力を高め、滋養強壮に効果的な天然ハーブともいわれている)と、カフェイン、イチョウ、アミノ酸などの天然または合成の認知増強剤であるヌートロピック(向精神薬)である。
機能性飲料のカテゴリーは、トレンドの波も激しい。コンサルティング会社アリックスパートナーズがまとめたデータによると、プレバイオティクスとプロバイオティクス飲料のアメリカでの売上は、昨年3倍以上に増加したが、コンブチャカテゴリーの売上は8%増にとどまった。
炭酸飲料を機能性飲料としてリブランド

シェリー氏は「成分の機能性に対する消費者の意識が、近年高まっている」と語る。
「スライスソーダ」は、1984年ペプシコがアメリカでは初となる果汁を10%使用し、スプライトやセブンアップの対抗馬として発売した炭酸飲料だったが、その後2000年代初頭に売上の低下によって、販売中止となった商品だ。約20年間市場から消えていたスライスが、去年5月、スジャ・オーガニックのジュースやヴァイヴ・オーガニックの免疫力向上剤を所有するスジャ・ライフによって買収された。スジャ・ライフ社によると、スライスは腸の健康に焦点を当てた機能性飲料としてリニューアルされることになったという。今年1月に販売を開始し、売上は上々だという。
スライスのフレーバーと泡立ちはオリジナル版と同じだが、配合が変更され、本物の原材料を使用し、砂糖は5g以下、果糖ぶどう糖液糖不使用、プレバイオティクス、プロバイオティクス、ポストバイオティクスのブレンドとなっている。
スジャ・ライフのマリア・スティップ最高経営責任者は声明で、「スライスの新時代を切り開き、この愛すべきブランドをモダンでエキサイティングなひねりを加えて、復活させることにわくわくしています。すべての人が健康飲料に手を伸ばすわけではないことは理解していますが、ソーダはほぼすべてのアメリカ人の冷蔵庫にある主食です。この日常的な飲料を利点のあるレベルアップしたものに変えることで、私たちは消費者の健康と幸福に大きな影響を与えることができます」と述べた。
健康志向のソーダは目新しいものではないが、スジャはこのゲームに既知のブランドを持ち込むことで、スライスを飲んで育った高齢者の共感を得ることができるだろうと期待している。
アメリカで流行中のウェルネス・ソーダ

また、今回の展示会では、日本のアサヒ飲料の米国子会社であるAsahi Beverages America(以下ABA)も新しい機能性ドリンクを初お披露目した。ABAは、アメリカでの主力商品は、ペットボトルのCALPICO®(日本のカルピス®)で、今回発売を予定しているのは、「REFREZZ™」というウェルネス・ソーダ(Wellness Soda)だ。カルピス由来の乳酸菌研究により選び抜かれた免疫機能の維持に役立つ「L-92乳酸菌」とストレスの緩和、睡眠の質を高める機能が報告されているガセリ菌CP2305株が入ったポストバイオティックドリンクとなっている。
アメリカの消費者に愛される商品を発売したいと考えた際に、アサヒグループの持つ独自の乳酸菌を使った他にないドリンクを販売したいと考え、ウェルネス・ソーダが、ここ最近アメリカで流行っているため、「乳酸菌を取り入れたウェルネス・ソーダにビジネスチャンスがある」と考えた。ABAのECでは、今年4月頃の販売を目指している。
競争が激化する飲料業界において、他社との差別化を図ろうと、飲料業界は必死に自社の強みを活かして、奮闘している。