食用油、家庭内調理機会の増加で20年度の市場規模は1600億円を突破

山田陽美(ライター)
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 14年度対比で最も大きく伸長したのが、こめ油だ。14年度の市場規模が9億円だったのに対し、20年度には102億円にまで拡大。20年度も同33.9%増と高い成長となった。軽くて香ばしい風味と、カラッと仕上がるのが特長で、ビタミンEや植物ステロールなどの栄養素も含んでいる。サラダ油やキャノーラ油からの置き換えが進んでいる。

食用油の主要カテゴリー別金額市場規模推移

アマニ油は2年連続で100億円を突破

 体によい成分を豊富に含み、サプリメントのように毎日摂取するサプリ的オイル。その中心的な位置づけにあるのが、アマニ油で20年度の市場規模は102億円で対前年比6.8%減。直近では微減となったが、14年度対比では100%増となっている。健康成分オメガ3(α-リノレン酸)を豊富に含み、健康感が浸透しつつある。しそ・えごま油の20年度の市場規模は5億円で同25.4%減と大きく前年割れとなった。日清オイリオグループでは、昨年秋に「日清有機えごま油」を発売。指定農園で有機栽培された良質なえごまのみを使用したもので、市場活性化を図っていく。

 市場のボリュームはまだ大きくないが、話題となっているのがMCTオイルで、20年度は同115.2%増と大きく伸長。消化吸収がよく、エネルギーになりやすい中鎖脂肪酸は、スポーツをする人や健康・美容に気づかう人から支持されている。

 8月には原料の高騰を受け、大手3社が食用油の価格引き上げを発表した。食用油1㎏あたり50円の値上げで、今年3度目の値上げとなる。値上げにより需要が落ちないようにするため、引き続き、食用油の健康性やおいしさを訴求していく必要がありそうだ。

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