ギフト市場、コロナ禍でのコミュニケーションとして気持ちを伝えるギフトが好評

山田陽美(ライター)
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高齢化や法人需要の減少で年々、縮小傾向にある中元・歳暮市場。ただ、コミュニケーションの手段としての需要は一定数あり、とくにコロナ禍においては、母の日や誕生日など身近な人へのカジュアルギフトは堅調に推移している。

20年の市場は堅調もカテゴリーごとに明暗分かれる

 近年、虚礼廃止の風潮が広がるなか、中元・歳暮市場は縮小傾向が続いている。ただ、2020年の中元・歳暮期は新型コロナウイルス感染症の影響で気軽に帰省ができない代わりに、コミュニケーションの手段として中元を利用した人が多かったようだ。また、在宅時間の増加から、自宅用に購入するなど、これまでにない需要が発生している。歳暮期はこの傾向がさらに強まった。購入場所も変化しており、店頭での購買は減少し、通販が中心となっている。

ギフトのイメージ
中元・歳暮市場は高齢化や法人需要の減少で年々縮小傾向にある。Hana-Photo/i-stock

 一方、母の日や父の日、敬老の日、誕生日などに贈るカジュアルギフトは堅調に推移。ただ、昨年の母の日は初めての緊急事態宣言下ということもあってか、厳しい状況となった。

 20年の中元・歳暮市場全体としては好調となったが、カテゴリーによって明暗が大きく分かれた。20年の中元期(6~8月)と歳暮期(11~1月)で好調だったのが調味料ギフト。KSP-POSデータによると、中元期の6月の金額PIは151円で対前年同期比24.9%増、7月は428円で同16.9%増、8月は544円で同17.6%増。歳暮期の11月は220円で同44.1%増、12月は758円で同49.5%増、1月は174円で同17.3%増。ボリュームとしては小さいが、すべての月で大きく伸長した。調味料ギフトはシニア層から支持されているため、化学調味料無添加や減塩タイプなど、健康に気づかったものに需要が集中している。

ギフト関連品目の金額PIおよび金額PI対前年推移

 食用油ギフトは苦戦しており、中元期の6月の金額PIは495円で同12.8%増、7月は1590円で同8.6%減、8月は1578円で同6.7%減。これまで食用油ギフトを牽引してきたオリーブオイルはやや一段落した感はあるが、家庭でも定着し始めたアマニ油ギフトが好調だ。

 日清オイリオグループでは、アマニ油を中心にオリーブオイルやえごま油などを詰め合わせたギフトを強化している。また、昨年好評だった産地限定のこだわり品質のオリーブオイルだけを使ったギフトを展開。中元・歳暮だけでなく、カジュアルギフトとしても人気がある。

ハム・ソーセージ、ビールギフトともに中元・歳暮ともに前年割れ

 ハム・ソーセージギフトも前年割れ。中元期の6月の金額PIは730円で対前年同期比17.6%増、7月は2063円で同7.1%減、8月は1260円で同5.7%減。歳暮期の11月は1768円で同14.2%増、12月は6375円で同6.2%減、1月は538円で同7.6%減。中元期、歳暮期ともに最需要期に大きく落ち込んでいる。

 ビールギフトも苦戦したカテゴリーで、中元期の6月の金額PIは1531円で同18.2%増、7月は5425円で同3.5%減、8月は3508円で同8.4%減。歳暮期の11月は1606円で同17.8%増、12月は5817円で同4.6%減、1月は438円で同21.5%減となった。

 コロナ禍で気軽に旅行や帰省ができない状況が続いていることから、今年も会えない人に対して気持ちを伝えるギフトへの需要は高まりそうだ。

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