「なにでも、いつでも、どこでも」買い物できるEコマース3.0に挑む
マーケットプレイスの効果的な運営のためのソリューション
Miraklは、マーケットプレイスの開設だけでなく、効率的な運営をサポートするソリューションやツールも開発している。たとえば、「Mirakl Catalog Manager」(ミラクル・カタログマネージャー)は、サプライヤーの商品カタログを効率よく統合できるツールだ。商品データの整合性を担保しながら、従来よりも14倍速くマーケットプレイス上に出品でき、品揃えを迅速かつ効率的に拡充できる。2023年6月には、米オープンAI(Open AI)のジェネレーティブAI(生成AI)と自社の機械学習(ML)アルゴリズムを統合した新機能も発表した。
このほか、マーケットプレイスに特化したグローバル対応のペイアウト(支払い)ソリューションとして「Mirakl Payout」(ミラクル・ペイアウト)を開発し、ペイアウトのプロセスの簡素化も実現している。尚、これらMirakl Payout、Target2Sell、Mirakl Adsに関して、日本での展開は未定となっているが、今後に期待したい。
どれだけ品揃えを増やしても、顧客に商品を見つけてもらえなければ購買にはつながらない。近年、AI(人工知能)を活用した商品のレコメンデーションが普及してきたが、その精度はまだ十分でなく、顧客体験を損なうケースもある。Miraklのバイスプレジデント(VP)ジョアン・ランバート氏は「商品のレコメンデーション自体は難しいものではないが、優れたレコメンデーションをするのは、けしてたやすくない」と強調する。「Mirakl Target2Sell」(ミラクル・ターゲット・トゥ・セル)は、AIを活用したパーソナライゼーションツールだ。ユーザーの購買行動の背景を読み解き、その変化にもリアルタイムに適応して、常に最適な商品のレコメンデーションを行う。また、事業戦略やMD(商品政策)などに合わせて条件をカスタマイズすることもできる。
顧客が商品を簡単に見つけられるレコメンデーションの実施
英国を本拠地として欧州22カ国に約750カ所の支店を展開する欧州の事業者向け工業用副資材(MRO)流通最大手のルビックス(RUBIX)は、ECに「Mirakl Target2Sell」を導入した先進的な企業だ。2022年度の売上高は約30億ユーロ(4650億円:1ユーロ=155円で換算)にのぼり、そのうちECの売上高が2割を占める。
ルビックスのECの取扱品目数は約300万品目にのぼる。そのため、ユーザーが欲しい商品を簡単に見つけられ、ユーザーのニーズに合わせて代替商品や補完商品を提案できるソリューションを必要としていた。そこで、「Mirakl Target2Sell」を採用したところ、2022年には平均客単価が対前年比15%増と顕著に伸びた。ルビックスのチーフデジタル&マーケティングオフィサーのリー・プルーイット氏によると「顧客アンケートでは、『Mirakl Target2Sell』の導入後、顧客の満足度が高まっていることも示された」という。
リテールメディアサービスの提供
リテールメディアは、新たな広告メディアとして小売業界内外から注目を集め、急速に成長している。とりわけ、小売企業がすでに一定のトラフィックを獲得しているECは、有望なリテールメディアだ。MiraklはECとマーケットプレイスに最適化されたリテールメディアソリューション「Mirakl Ads」(ミラクル・アド)を提供し、リテールメディアを通じた小売企業の新たな収益源の創出も積極的に支援している。