Mirakl(ミラクル)CCOに聞くマーケットプレイスが日本の小売業にもたらす利点とは?

ダイヤモンド・リテイルメディア 流通マーケティング局
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業界で初めて、マーケットプレイス構築向けSaaSプラットフォームとしてソリューションを提供しているMirakl。そこでCCOChief Customer Officer)を務めるSophie Marchessou氏にマーケットプレイスの現状やコロナ禍の影響、日本の小売業にとってのマーケットプレイスの必要性について話を聞いた。

Mirakl CCO(Chief Customer Officer)の Sophie Marchessou氏 【プロフィール】HEC Paris卒、ハーバードビジネススクールでMBA取得後、マッキンゼー・アンド・カンパニーでのパートナー就任を経て、2021年にMiraklへ入社。2023年3月より同社のCCOへ就任。

マーケットプレイスの現状について

─欧米におけるマーケットプレイスの現状について教えてください

 マーケットプレイスはこの10年で急速に成長したセグメントです。多くの小売企業は自社のマーケットプレイスを立ち上げ、米アマゾン・ドット・コム(Amazon.com:以下、アマゾン)をはじめとする大手のマーケットプレイスプラットフォームに対抗しています。マーケットプレイスはEC2倍超のペースで成長し、2022年には成長率の差が6倍に広がりました。

2022年におけるマーケットプレイスとeコマースの成長差は6倍

 我々が毎年実施しているアンケート調査によると、消費者はマーケットプレイスでの買い物に利便性を感じています。マーケットプレイスは品揃えが豊富で、より安く、顧客体験も優れているからです。小売企業にとってもマーケットプレイスは有益なセグメントであり、より多くの品揃えを提供する手段です。豊富な品揃えによってユーザーの離脱を防ぎ、より多くの商品を販売できます。

 Mirakl(ミラクル:本拠地、フランス)は2012年にフランスで創業し、マーケットプレイスに特化したSaaSソリューションのリーディングプロバイダーとして急速にグローバル化してきました。世界40カ国以上で事業を展開し、20225月に日本にも進出しています。顧客の過半数は欧州企業ですが、北米企業も25%を占めています。

 顧客の業態は多様です。百貨店の米メーシーズ(Macy’s)や仏ギャラリー・ラファイエット(Galeries Lafayette)、食品小売大手の仏カルフール(Carrefour)やルクレール(E.Leclerc)、米クローガー(Kroger)、ホームセンターの英B&Qや仏ルロワ・メルラン(Leroy Merlin)、スポーツ用品チェーンの仏デカトロン(DECATHLON)などでは、Miraklのソリューションを導入してマーケットプレイスを立ち上げています。最近はアパレルやビューティの領域も伸びており、ファストファッションブランドのH&MASOS(エーソス)などでもMiraklのソリューションが採用されています。

350社以上がマーケットプレイスを採用し、小売業も多数導入済み

─コロナ禍はマーケットプレイスにどのような影響をもたらしましたか

 コロナ禍ではオンラインビジネス全体が拡大し、マーケットプレイスも大きく伸長しました。マーケットプレイスは、より速くアジャイルなモデルです。コロナ禍以降、瞬時に適切な品揃えをすることは極めて重要になっています。マーケットプレイスを持つ小売企業は、コロナ禍で一変した消費者の生活様式やニーズにも素早く対応できました。たとえばデカトロンは、コロナ禍で需要が急増したトレッドミルやエアロバイクの品揃えをマーケットプレイスモデルによってすぐに拡充しました。自社で商品を調達する必要はありません。相応しいブランドと在庫を持つ販売事業者を選べばよいのです。

 マーケットプレイスは、コロナ禍でのサプライチェーンの混乱への対応にも役立ちました。マーケットプレイスの販売事業者がいれば、在庫を持っている販売事業者から消費者へより早く商品を届けられます。この2年はインフレに対する消費者の懸念が広がり、購買力が低下しています。マーケットプレイスであれば、幅広い人にとって安くて買いやすいエントリープライスで商品を提供できます。

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