コンビニ飽和時代、活路は海外にあり!? コンビニ3社の海外戦略の現在

崔 順踊(リテールライター)
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ファミリーマート
台湾4000店舗を達成!

BING-JHEN HONG/istock
BING-JHEN HONG/istock

 1988年の台湾進出を皮切りに、海外での出店地域を拡大し、2022年には台湾ファミリーマート(全家便利商店股份有限公司)が4000店舗を達成したファミリーマート(東京都)。同社は1990年に韓国に進出したが2014年に撤退、2004年にアメリカに参入したが2015年に撤退と、海外展開においてはトライアンドエラーを経験している。

 1993年に進出したタイでは、2012年にタイ最大の小売企業であるCRCグループを事業パートナーとし展開してきたが、2020年5月にはCRCグループの経営資源を最大限活用したライセンス化事業にすることを決定。関連会社のCentral FamilyMart Co., Ltdに株式譲渡を行った。

 2023年5月末時点における、東アジアおよび東南アジアを中心としたファミリーマートの海外店舗数は合計8005店舗となっている。なお、ファミリーマートは2020年11月に上場廃止しており、海外事業の業績を開示していない。2024年2月期の戦略も明らかにされていないが、台湾ファミリーマートでは日本の店舗と同様に『Pokémon GO』とのパートナーシップを締結し、2022年12月より約4000店舗にて「ポケストップ」や「ジム」としてゲーム内に登場するなど店舗のエンターテインメント化も行っている。また、果物など地域の特産品を用いたデザートの開発および販売も行うなど地域に密着した独自の商品開発を強みとし、現地に根差した店舗運営を行っている。

ローソン
2025年度に中国1万店舗体制へ

 1996年に国内コンビニとして初めて中国・上海市に進出したローソン(東京都)は現在、中国、タイ、インドネシア、フィリピン、米国ハワイ州に合計6160店舗を展開している(2023年2月末時点)。

 事業セグメント別に見ると、ローソンにおける海外事業は国内事業やエンタテインメント関連事業、金融関連事業に次ぐ事業という位置づけとなっている。主なターゲットは中国であり、2023年2月末時点の店舗数は前期末比1060店舗増の5620店舗となっている。

 海外事業の営業総収入は対前期比51.1%増の921億3200万円、セグメント損失は30億6400万円(前期はセグメント利益23億4200万円)であった。海外店舗の9割を占める中国において、コロナ禍による大規模な行動規制の実施やロックダウンの影響を受けたほか、ゼロコロナ製政策緩和後も感染者数が増加するなど厳しい事業環境が減益の主因だ。人流の回復に伴い日販も回復傾向にある現在、強みである米飯やデザートなどの高品質なオリジナル商品の展開とデリバリー事業の強化に取り組んでいくとしている。

 ローソンが掲げる中期経営計画「Challenge2025」では、海外事業全般で出店を加速していくことが明記されている。中国では新規エリアへの出店加速と既存出店エリアの規模拡大および利益率向上に取り組み、2025年の1万店舗体制をめざす。具体的には、PBの強化や基本品質の見直しを行う。またデリバリーやOMO(オンラインとオフラインの融合)、ECを拡大し、営業・商品・開発領域でのDXを推進する。

 アジア・パシフィックでは、フィリピン、タイでPB商品の拡大やファストフード商品の強化、ベンダー政策を強化する。インドネシアでは新商品開発サポートに力を入れる。これらの施策を実施しながら出店を加速し、2025年にアジア・パシフィックにおいて3000店舗体制としたい考えだ。

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