いまだ着地見えぬ値上げラッシュ……2023年後半戦の価格改定動向まとめ

2023/09/21 05:59
崔 順踊(リテールライター)
Pocket

乳製品、菓子、飲料でも値上げ続々

 食品については、日本ハムが家庭向けのハム・ベーコンなど18品目について7~20%の価格改定を発表。日清食品もラーメン・焼そば・お好み焼き・米飯・和風麺・お惣菜など幅広い商品群で。出荷価格の約5~20%の値上げを実施する。また、サトウ食品は、包装餅商品(切り餅・まる餅・鏡餅)の全商品を約10~12%値上げした。

 飼料価格の高騰やエネルギーコストの増加により、現行制度下では初の1年間で計20円の価格上昇となった乳価の価格改定が、各メーカーに大きな影響をおよぼしており、8月に引き続き、メーカー各社は値上げに踏み切っている。明治では、ヨーグルト17品の内容量を約5%減らすかたちで実質的な価格改定を行った。アサヒグループ食品も「はいはい」「ぐんぐん」「ボンラクトi」などの粉ミルクの主要ブランド商品の価格を7.4~17.6%引き上げた。

 飲料・酒類では5月に缶コーヒーなどが値上がりしたが、9月にはヤクルト本社が「New ヤクルト」「New ヤクルトカロリーハーフ」などの7品を9年10カ月ぶりに価格改定した。江崎グリコでは8月に続き9月にも幼児向け飲料各種、100%果汁野菜飲料各種を1~18%値上げした。飲料は、10月にもキリンビールやコカ・コーラボトラーズジャパンなどの大手メーカーが値上げ・再値上げを予定している。

 菓子では、ロッテが「トッポ」や「コアラのマーチ」、グミ各種などの市販用菓子66品の価格変更および1品(アーモンドチョコレートクリスプ)の内容量変更を実施した。赤城乳業では、9月にアイスクリーム17品、10月に6品を値上げする。10月にはカルビーの値上げなども予定されており、菓子類の値上げも引き続き敢行されていくとみられる。

 東京商工リサーチによると、大手外食チェ―ン122社のうち2022年1月から2023年4月上旬までに値上げを実施・公表したのは86社(構成比70.4%)と7割を超えている。また、このうち約4割の企業が複数回の値上げを実施している。

 2023年後半では、マクドナルドの都心部184店舗(全国約3000店舗の約6%)における「都心型価格」の実施(7月19日より)のインパクトが大きく、大手チェーンにおいてもなお、コスト吸収は難しいという現実が垣間見えた。

 今後の動向を見ると、年内においても10月に4533品目の値上げが確定しており、さらに品目数は増加するだろう。値上げの波は止んでおらず、値段据え置きに「お得感」を感じる状況でもある。世界経済情勢も不透明さを増しており、各種コストの高騰とそれに伴う値上げは2024年も続く見通しだ。メーカー各社や小売各社へのコスト対応力が求められている。

1 2
© 2024 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態