需要は堅調に推移するも、飼料高騰に担い手不足と課題山積……食肉流通の今後の展望は?

2023/03/20 05:55
棚橋 慶次
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伸び続ける食肉需要…将来的には減退が懸念?

 牛・豚・鶏ともに、BSE問題による牛肉の一時的な需要減少などを除けば、消費量は一貫して増加している。重量ベースの自給率は牛肉が3分の1、豚肉が2分の1、鶏肉で3分の2となっており、国内産業の低迷(養鶏以外)と消費量の増加から輸入に頼る割合が増えている。

 ただ、現在まで伸び続けてきた国内流通量も今後は少子高齢化でゆるやかに減少していくと見込まれる。一方で供給源である畜産業は、もともと基盤が弱いうえに飼料・燃料の高騰に悩まされ、従事者も減少傾向にある。

 一方、海外に目を向けてみると、米国ではJBS USA、タイソン・フーズ(Tyson Foods)といった「パッカー」と呼ばれる食肉流通業が規模拡大を続けている。最大手のJBS USAの売上高は275億ドル(3.7兆円)に達しており、もはや日本企業には彼らの背中は見えない。

 もちろん、規模拡大だけが選択肢ではない。「WAGYU」をはじめ、日本の食肉は味や品質のほか、安全性での高さで世界的に評価されている。強みを生かしてブランド化を進めれば、インバウンド需要や輸出拡大も期待できる。海外販売強化にむけては、加工工場の輸出認定や総合商社との連携など地道な努力も欠かせない。

 とはいえ、足元である調達・生産基盤の強化も喫緊の課題だ。トピックスとしては和牛における受精卵事業に着目したい。軌道に乗れば、和牛農家の負担軽減・牛肉の安定供給につながることだろう。さまざまな課題を解決しサプライチェーンを支え続ける、食肉卸に与えられた使命は大きい。

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