ウエルシアHDの新フォーマット「ドラッグ&フード」は東日本の競争環境をどう変えるか

上林 大輝 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)

新たな店舗フォーマット「ドラッグ&フード」を拡大

ウエルシアの食品強化型店舗 売場
ウエルシアHDでは食品強化型フォーマットとして「ドラッグ&フード」の展開を開始する(ウエルシア薬局・ニュースリリースより)

 ドラッグストア業界では、生鮮・食品の取り扱いを拡大した「フード&ドラッグ」を拡大する企業が増えている。業界大手のコスモス薬品(福岡県/横山英昭社長)は25年5月期の食品売上高構成比が61.2%に達するなど、いまや食品は「集客装置」ではなく、主力カテゴリーとなっている。

 そんな中、ウエルシアHDも新たな食品強化型フォーマット「ドラッグ&フード」の展開を開始することを発表した。食品の品揃えを強化し、来店頻度の向上と買物のワンストップ化を進めていく考えだ。26年2月期中は既存店改装を中心に9店舗で同フォーマットを実装していく計画で、すでに茨城県の2店舗(つくば小茎店、稲敷釜井店)に導入済みだという。

 「ドラッグ&フード」では、生鮮食品・総菜・弁当を取り扱うとともに、冷凍食品の品揃えを既存店より充実させることで内食ニーズにも対応する。弁当・総菜の展開にあたっては、親会社であるイオン(千葉県/吉田昭夫社長)のインフラを活用する方針だ。

 この「ドラッグ&フード」というネーミングについて、桐澤社長は「あえて意識的に『ドラッグ&フード』としている。われわれはドラッグストアであり、主戦場はやはりH&BC(ヘルス&ビューティケア)。あくまでも食品はお客さまに来店していただくためのツールだ」と説明した。

 その言葉のとおり、同フォーマットの売場スペース比率の目安は「食品4:非食品6」、食品売上高構成比は通常店舗より10ポイント以上高い40~50%をめざすとしている。桐澤社長は「郊外における差別化モデルとして、地域ニーズに応じた改装・出店を積極的に進めていく」と話している。

 フード&ドラッグの市場は、先述のコスモス薬品に加え、地場食品スーパーのM&A(合併・買収)を進めるクスリのアオキホールディングス(石川県/青木宏憲社長)や、地盤の東北6県から新商勢圏の関東へと出店を開始した薬王堂ホールディングス(岩手県/西郷辰弘社長)など、東日本を舞台とした競争が激化している。業界トップのウエルシアHDによる「ドラッグ&フード」の拡大により、東日本における食品強化型ドラッグストアの競争はより熾烈を極めると予想される。

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記事執筆者

上林 大輝 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

2000年生まれ。埼玉県出身。法政大学文学部英文学科卒業後、地方新聞社の営業職を経て株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア入社。

流通小売の専門誌「ダイヤモンド・チェーンストア」編集部で執筆・編集を行う。

趣味はお笑い鑑賞、音楽鑑賞。一番好きなアーティストは椎名林檎。

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