ウエルシアHDの新フォーマット「ドラッグ&フード」は東日本の競争環境をどう変えるか

上林 大輝 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)

ドラッグストア最大手のウエルシアホールディングス(東京都/桐澤英明社長:以下、ウエルシアHD)が、2026年2月期の中間決算を発表した。今年12月にはツルハホールディングス(北海道/鶴羽順社長:以下、ツルハHD)との統合を控え、ウエルシアHDとしては最後の決算発表会見となった。10月8日、アナリスト・メディア向けに開かれた決算説明会の内容をレポートする。

ウエルシアホールディングス代表取締役社長の桐澤英明氏

収益性が大きく改善し増収増益に

 ウエルシアHDの26年2月期第2四半期連結決算は、売上高が対前年同期比7.6%増の6787億円、営業利益が同20.8%増の205億円、経常利益が同21.6%増の227億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同35.9%増の125億円だった。

 品目別で見ると、「調剤」が増収に大きく寄与した。処方箋枚数、処方箋単価がともに伸長し、売上高は同11.2%増の1368億円と2ケタ成長を遂げた。

 一方で、「物販」は売上高が同6.7%増の4932億円と伸長したものの、売上高構成比は同0.7ポイント減となり、計画未達となった。値上げによる単価上昇の影響で、「からだWelcia」「くらしWelcia」が同19.6%増、「トップバリュ」が同28.9%増と食品のプライベートブランド(PB)の売れ行きが好調だったものの、7~8月の猛暑で外出控えもあったことで客数が減少。7月が同0.7%減、8月が同1.7%減と計画値に届かなかった。

 利益面では、高温による季節商材の需要拡大のほか、PB売上高が同18.4%増と2ケタ伸長したのが奏功し、各カテゴリーで粗利益率が改善。営業利益の大幅増を後押しした。また、店舗での業務用スマホやモバイルラベルプリンターの活用、新レジシステムの全店導入などで店舗運営の効率化が進み、人時生産性が向上。人件費率が同0.3ポイント減の13.8%となったことも寄与した。

 ウエルシアHDの桐澤英明社長は「上期は増収増益で着地し、粗利益率については一定の改善が見られたものの、依然として満足できる水準には達していない。今後も新経営戦略『ウエルシア2.0』の方針のもと、収益性の高い企業への転換を着実に進めていく」と意気込んだ。

 なお、ウエルシアHDはツルハHDとの統合を12月に控えており、25年11月27日付で上場廃止予定だ。そのため、通期の連結業績予想は公表していない。ツルハHDとの統合について、桐澤社長は「12月の統合に向け、着実にスタートが切れる体制へと歩みを進めている」と話している。

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記事執筆者

上林 大輝 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

2000年生まれ。埼玉県出身。法政大学文学部英文学科卒業後、地方新聞社の営業職を経て株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア入社。

流通小売の専門誌「ダイヤモンド・チェーンストア」編集部で執筆・編集を行う。

趣味はお笑い鑑賞、音楽鑑賞。一番好きなアーティストは椎名林檎。

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