日本アクセス(東京都/服部真也社長)は5月24日、2023年3月期の連結業績を発表した。第8次中期経営計画「構造改革2024~新たなサービス・価値の創造」の1年目となる22年度の決算概要と、今期の経営方針についてレポートする。
販管費の増加に耐え、増収・増益を継続
日本アクセスの23年3月期の連結決算は、売上高が対前期比3.6%増の2兆1976億円、営業利益は同7.7%増の252億円、経常利益は同9.3%増の260億円、当期純利益は同6.5%増の174億円だった。一部取引先の縮小や販売費および一般管理費(以下、販管費)増加の影響があったものの、増収・増益を達成。前期の22年3月期に続き売上高、営業利益ともに業界トップとなった。
市場分野別売上高では、「外食」が行動制限の撤廃を受け同15.0%増と最も伸長した。次いで「中食」が同7.5%増、「市販用(一般小売)」が同1.6%増と拡大した一方、「ロジスティクス事業」は主要取引先の減少により同2.0%減となった。業態別売上高をみると、「メーカー(外食・デリカ)」が同8.9%増、「ドラッグストア」が同7.5%増だった。ドラッグストアの伸長は、食品を取扱う企業や積極的に新規出店する企業の増加が要因とみられる。
カテゴリー別売上高では菓子や酒類、和日配など一部の品目がコロナ特需の反動減で前期実績を下回った。温度帯別売上高では人流の回復により「ドライ」(同4.7%増)、「チルド」(同2.3%増)、「フローズン」(同5.2%増)のすべてのカテゴリーで売上が拡大した。
日本アクセスが23年3月期、大規模に行った施策は「成長・競争優位の確立」を目的とする組織改編だ。従来は別々に機能していた「デリカ管掌」「商品統括・マーケティング管掌」「外食流通営業部門」を統一し、新設した「業務用管掌」下に組み込んだ。これにより、昨今のトレンドの内食、中食、外食のシームレス化に対応し、従来の業態軸にとらわれない新規顧客やマーケットの開拓に力を入れる。
さらに23年4月には「商品統括・マーケティング管掌」下にあった「商品部」を「営業部門」下に移管し、名称を「商品・営業推進部」に変え、営業力や提案力、商品調達力の強化を図る。
中計2年目の重点施策
第8次中期経営計画の2年目にあたる24年3月期は、23年3月期に減収となった菓子と酒類のほか、ノンフード、商品開発の4つを重点テーマに据えて各施策に取り組む。既存事業では、中核事業の生鮮、デリカ、外食の販売強化と取引拡大に力を入れる。
新規事業としてはECプラットフォームの構築や、「LINEミニアプリ」を利用した広告Webサービスなど「情報卸」事業の確立を進める。LINEミニアプリではたとえば、デジタルチラシ「チラシNEXT」などのサービスを小売店に導入する。
物流の「2024年問題」への対応策としては、冷凍食品や氷菓を工場から一括して仕入れる「フローズンマザーセンター」の全国展開を進める。同施設から全国各地の配送拠点へ需要に応じて出荷することで、物流コストの削減が可能となる。すでに稼働している東北、近畿、中四国に加え、24年3月期は東北、25年3月期は中部と九州に新規稼働予定だ。
SDGsの取り組みでは、AIを用いた適格な受発注、食品の端材を出さない工夫、保存期間の長い商品の開発により食品ロス削減をめざす。前期(23年3月期)は食品廃棄量を17年3月期比で約30%削減しており、24年3月期は50%の削減をめざす。
これら事業戦略により24年3月期の業績予想は、売上高が対前期比3.3%増の2兆2700億円、経常利益が同0.4%増の262億円、当期純利益が同2.2%増の178億円を計画している。