『ダイヤモンドホームセンター』誌の調べによれば、ホームセンター(HC)の市場規模は、コロナ禍での巣ごもり需要の追い風を受けた2020年度に初めて4兆円を突破。21年度もコロナ特需の反動減があったものの4兆円規模(4兆1360億円)を維持した。22年度はどうなるだろうか。調査対象は異なるが、経済産業省の商業動態統計では22年のHC商品販売額は前年から1.4%減にとどまっている。
2023年決算は下方修正相次ぐ
23年の決算期中は、業界再編の動きが見られた。業界トップのカインズ(埼玉県)による東急ハンズ(東京都:現ハンズ)の子会社化完了、DCMホールディングス(東京都:以下、DCMHD)によるカンセキとの資本業務提携、ケーヨー株式の追加取得(20%強から30%強へ)、アークランドサカモト(新潟県:現アークランズ)によるビバホームの吸収合併などだ。
また近年では、出店戦略にも変化がある。コーナン商事(大阪府)の「コーナンプロ」、DCMHDの「ホダカ」などを代表例に、プロショップといわれる専門業態での出店が各社増えている点だ。新しい取り組みとして体験型HCへのチャレンジもある。DCMHDが22年11月、東京・恵比寿ガーデンプレイスに初の都市型新業態として出店した「DCM DIY place」はその一例だ。
主要HCの23年決算第3四半期までの動向を見てみると、総じて売上は伸び悩みを示し、エネルギー価格や原材料価格の高騰、急激な円安に伴うコストの増大により利益を落とすところも目立っている。
DCMHDは23年2月期より収益認識基準会計を適用しているものの第3四半期時点で対前年同期比の単純比較で増収となっている。これは、第2四半期から子会社化した家電ECのエクスプライス(東京都)分を業績に加えているためだ。
コーナン商事の23年2月期第3四半期決算は、コーナン単体でのPRO業態の売上が対前年同期比7.3%増、子会社の建デポが同10.9%増となるなど、プロショップが堅調に推移したこともあり増収(23年3月期より収益認識基準会計適用、前期も同様の会計処理だった場合の比較)だったが、円安に伴う輸入コストの増加、新店出店による販管費の増加により減益になった。同社は22年10月に通期業績の下方修正を発表している。
21年決算は変則決算だったアークランズ(ビバホームが14カ月決算、アークランドサカモトが12カ月8日決算)は、22年決算が通期での初決算となる。第3四半期決算発表時に業績を下方修正しているが、売上高は3160億円を見込んでいる。3月決算のコメリ(新潟県)、ナフコ(福岡県)も、業績予想を下方修正した。
インテリア家具販売のニトリホールディングス(北海道)傘下となって2期目の島忠(埼玉県)は、グループの開発力により、PB開発を進め、粗利率の改善を図っている。第3四半期時点で減収だが、営業利益率を大きく改善し(2.6%から3.8%へ)、営業増益を実現している。
2022年決算をおさらい!
間もなく、HC企業の2023年の決算(23年2,3,6月期決算)が発表になる。22年決算ではコロナ特需からの反動減は比較的軽微にとどまったが、それはコロナ禍での新規顧客の獲得によるものだったのか、2年連続でクリアした4兆円市場は維持されているのか、気になるところは多い。
各社決算発表を待つ前に、22年決算での売上ランキングはどうなっていたのか、ここで振り返っておこう。
コロナ禍においてHC企業は、日用品の特需のほか、DIY(日曜大工)や園芸などのニーズによって好業績に沸いた。22年決算ではその反動減が見られるものの、好調企業は前年度から大きく落ち込むことなく高水準を維持している。
売上高首位のカインズは、22年2月期の売上高が対前期比0.6%減の4826億円。建築資材卸などの専門店業態の店舗への注力もあり、高い伸びを見せた前期(同10.1%増)に近い好業績を残した。同社子会社となった旧東急ハンズ(現ハンズ)の売上高は555億円であった。
2位のDCMHDは、9位の持分法提供会社ケーヨーと単純合算したグループ全体売上高では約5500億円となり、業界最大規模。22年2月期は減収となったが、7期連続の営業増益で過去最高益を更新した。
3位のコーナン商事の22年2月期も同0.6%減ではあるものの、好調なプロ業態5店舗を含む26店舗を出店したこともあり、2ケタ伸長を遂げた前期(同16.7%)から微減にとどめていた。