AJS田尻一会長が指摘する「これからの食品小売はどうなっていくのか?」

若狭 靖代(ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
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原材料高騰と価格競争のリンクが直近の課題

オール日本スーパーマーケット協会 田尻一会長

 AJS 田尻一会長は発表で、「原材料の高騰による値上げと、価格競争をどうリンクさせるかが直近の大きな課題になる」と述べた。

 発表の前半では、1980年から2020年までのエンゲル係数と食品支出の推移を示し、エンゲル係数は大きくV字を描くように変化がみられるが、これは母数である消費支出合計の変化によるもので、食品支出の絶対額は、実はさほど変化がないことを指摘。「世の中にどのような変化が起こっても、食品にはいつの時代も安定した需要が発生する」ということを示した。

 後半では、これからの食品小売がどうなっていくのか?について「私自身も悩ましく感じている。これはある意味、消費者が決めることでもある」(田尻会長)と、行き先の不透明さを表現した。一方で、コロナ禍以前の消費行動に世の中が少しずつ戻りつつある状況を踏まえ、価格競争の激化についての懸念を示した。大豆をはじめとする原材料の高騰にも触れ、「安売りできる商材が今後どれだけ作れるのか?という課題もある」と述べ、段落冒頭で示した値上げとの戦いと価格競争をどう両立するのか、を直近の課題として提示し発表を締めくくった。

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