日本酒類販売、2024年度決算は増収増益で着地
日本酒類販売(東京都/倉本隆社長)は2025年3月期決算を発表した。連結売上高6075億2900万円(対前期比4.0%増)、経常利益64億9600万円(同16.7%増)、経常利益率1.07%(同0.12pt増)、(親会社株主に帰属する)当期純利益47億8600万円(同28.0%増)となった。単体では、売上高5777億9300万円(同4.3%増)、経常利益54億1600万円(同10.1%増)、経常利益0.94%(同0.05pt増)、当期純利益38億3100万円(同20.8%増)と連結単体ともに増収増益で着地した。

商品別では明暗も 洋酒・ビール類・食品が好調
第一次中期経営計画(3年間)の最終年度となった25年3月期は、「コア事業である酒類・食品の卸売をあらためて磨き上げる」「新たな価値創造にチャレンジする」のテーマにしっかり取り組んだ。
「コア事業である酒類・食品の卸売をあらためて磨き上げる」取り組みとしては、各業態への新規開拓・深耕に注力。首都圏エリアを中心に業務用酒販店からの料飲店向け代理配送業務の受託を推進した。近畿エリアでも業務用酒販店との取り組み強化に努めている。
「新たな価値創造にチャレンジする」では、23年度末から代理店として取り扱いを開始した台湾産プレミアムウイスキー「カバラン」が業務用・組織量販を通じて高評価を獲得。今後も販路拡大に力を入れる。
単体の商品別売上は下記の通り。
【商品別売上(単体)】
① 和酒
清酒 237億5300万円 対前期比0.6%減
焼酎甲類 139億4900万円 同1.6%減
焼酎乙類 755億2800万円 同1.6%減
その他 24億1500万円 同0.5%減
和酒計 1156億4800万円 同1.4%減
② 洋酒
国産洋酒 1202億2800万円 同6.4%増
輸入洋酒 580億6500万円 同8.5%増
洋酒計(ビール系除く) 1782億9300万円 同7.1%増
③ ビール系
ビール 1086億5600万円 同8.4%増
発泡酒 204億7900万円 同7.2%増
新ジャンル 437億2000万円 同6.1%減
ビール系計 1728億5700万円 同4.2%増
④ 食品
食品 976億2200万円 同6.3%増
24年度の酒類はおおむね好調に推移した。物流費や資材費、原料米の価格上昇により、価格改定を実施するメーカーが増加している。
商品別では、日本酒が消費量の漸減傾向が続いていることもあり、前期実績を確保できなかった。焼酎乙類は、前々期に実施された主要銘柄の価格改定が販売動向に影響を与えている。他方、原料芋の基腐(もとぐされ)病による出荷規制はほぼ解除された。しかし芋焼酎において一部商品の休売や需要の回復が緩やかなこともあり、前期実績を確保できなかった。
焼酎甲類は24年度に実施された主要銘柄の価格改定や主たる飲酒世代の高齢化により、前期実績を確保できなかった。
洋酒は、前期に国産ウイスキー主要銘柄の価格改定はあったが、ウイスキー人気が依然として継続していることから売上を増やした。
ビール類は業務用市場の拡大や25年4月に実施されたビール大手4社の価格改定前の駆け込み需要もあり、前年実績を上回った。とくにビールは23年10月の酒税法改正により、その他ビール類との価格差が縮小、前年実績を大きく上回った。
健康志向の高まりから、ノンアルコールビールの市場も拡大。製造技術の進歩はもちろん、これまでの「ビールの代替品」からあえて「ノンアルビール」を飲む層が拡大している。
食品は、各企業への販売施策や季節要因の後押しがあった。割材需要の拡大や嗜好の多様化によるノンアルコール商品も広がりをみせ、飲料水、加工食品ともに前期実績を上回った。また、業務用・外食産業向け商材として、冷凍・冷蔵食品の取り扱いも業績に寄与している。
チャネル別ではドラッグストア、外食での売上増が顕著に
次にチャネル別の売上について一覧でまとめた。
【チャネル別売上(単体)】
酒販店(うち一般店) 53億1700万円 対前期比4.2%減
酒販店(うち業務用) 981億1300万円 同8.5%増
二次卸 818億5600万円 同1.3%減
組織小売業
コンビニエンスストア 643億8100万円 同0.1%減
スーパー 1272億4600万円 同1.4%増
ディスカウントストア 583億1300万円 同0.2%増
ホームセンター 173億8800万円 同0.5%減
ドラッグストア 563億6400万円 同14.7%増
その他 37億4100万円 同3.0%減
ネット通販 459億8200万円 同14.0%増
外食 127億6000万円 同21.9%増
その他 63億2700万円 同12.3%増
合計 5777億9300万円 同4.3%増
業態別では、都市部を中心とした業務用市場の活況やインバウンド需要の増加が作用。とくにドラッグストア、外食、ネット通販で大きく伸びた。生活様式の多様化や飲食スタイルの変容、物価上昇による節約志向の高まりがみられた。





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