沖縄小売の雄・サンエー、25年2月期は増収増益 来期は約4年ぶりの新規出店!
沖縄を地盤とするサンエー(沖縄県/豊田沢社長)は4月18日、2025年2月期決算を発表した。25年2月期は子会社の売上好調などにより4期連続の増収増益を達成。既存店リニューアルを成長戦略の柱に掲げ、設備刷新や商品力向上を推進したほか、電子棚・セルフレジの導入による省力化にも取り組み、収益力と生産性の両立を図った。競争が激化する沖縄市場において、今期は「新本社・加工センター」の新築移転や「サンエー石垣シティ」のリニューアルオープン、来期には約4年ぶりとなる新規出店で、さらなる成長をめざす構えだ。

既存店のリニューアルで店舗力を強化
サンエーの25年2月期の連結業績は、営業収益が2371億円(対前期比4.2%増)、営業利益が169億円(同2.8%増)、経常利益が174億円(同3.4%増)、当期純利益が114億円(同7.4%増)で増収増益だった。
増収要因は、商品単価の上昇や観光需要の回復といった外部環境要因のほか、子会社であるローソン沖縄やサンエーパルコの好調が挙げられる。利益面では荷造運賃の増加や人件費の見直しで販売費および一般管理費(販管費)が同4.8%増となったものの、売上総利益の伸びで吸収、営業利益は堅調に拡大した。粗利益率は31.7%で前期と同水準を維持している。
期中は、物価高を背景に1人当たりの買い上げ点数が減少したが、1品単価が食品で同5.5%、衣料で同2.7%上昇し、既存店客単価は同4.2%増加した。既存店の客数は同0.7%増となり、既存店売上高は同4.9%増と高い伸びを示している。
サンエーが成長戦略の柱に据えるのが、既存店のリニューアルだ。25年2月期は新規出店をせず、既存店の改装に注力し、「サンエー宜野湾コンベンションシティ」(沖縄県宜野湾市)をはじめとする6店舗をリニューアルオープンした。LED照明の導入やタイルの張替え、通路幅の確保など、設備を更新したほか、品揃えを適正化して顧客ニーズへの対応を強化した。
加えて、労働時間削減や生産性向上のための環境整備にも力を注ぐ。25年2月期は電子棚を10店舗、セルフレジを24店舗に導入。これらは26年2月期も継続して取り組む予定で、電子棚とセルフレジをそれぞれ20店舗に導入するとしている。
今期「サンエー石垣シティ」リニューアルオープン後は、新規出店にも注力
26年2月期は、「新本社・食品加工センター」の新築移転を控える。同センターは24年夏に閉店した旧「サンエー大山シティ」(宜野湾市)の跡地に新築移転する計画で、現在取り壊し工事を行っている。商品力の向上や労働環境の整備、生産性の向上など、今後の事業を拡大していくため、まずセンター機能の強化を図るねらいだ。
出店については、25年夏に「サンエー石垣シティ」(石垣市)をリニューアルオープンする。26年冬には、食品館とドラッグストアの複合店「サンエー銘苅店」(那覇市)を新規でオープンする予定だ。新規出店は22年6月の「サンエー宮古島シティ」(宮古島市)以降、約4年ぶりとなる。
マーケットの拡大に伴い、近年の沖縄では競合環境に変化が生じつつある。24年3月に「ロピア」、8月には「コストコ」が沖縄進出を果たしたほか、イオン琉球や金秀商事といった沖縄地盤のチェーンがここ数年、年間2店舗のペースで新規出店するなど攻勢を強めている。
豊田社長は競争激化のリスクについて「ロピアやコストコはいずれもディスカウントなので当社とはすみわけがあり、影響はまだない。そこは冷静に判断していきたい」としつつ、「石垣シティの(リニューアル)オープン以降は当社も新規出店を加速させていくつもりだ」と意気込む。
26年2月期の業績予想では、営業収益2478億円(対前期比4.5%増)、営業利益172億円(同1.8%増)、経常利益177億円(同1.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は大山シティの解体費用といった特別損失の増加により、110億円(同4.0%減)を見込む。