[東京 10日 ロイター] – 内閣府が10日に発表した5月の景気ウオッチャー調査では、景気の現状判断DIは44.1と、2016年6月の41.8以来の低水準に沈んだ。企業動向関連、雇用関連、家計動向関連のすべてが低下し、マインド悪化が鮮明だった。5月連休以降の消費の低迷や、米中摩擦の深刻化が影響している。先行きは大幅な悪化となっており、消費増税や米中間の関税上乗せなどへの不安を示すコメントが急増している。
調査期間は5月の下旬。令和への改元や大型連休の効果のほか、米国による対中関税引き上げ発表などの影響も含んだ結果となっている。
現状判断の指数は44.1で、前月差1.2ポイント低下、2カ月ぶりの低下となった。横ばいを示す50の水準は17カ月連続で下回った。
家計動向は改元と10連休が終わった後の反動減が響き、0.6%ポイント悪化。すでに年明け以降、消費者マインドは停滞しており、今月は16年7月以来の低水準となった。「10連休中は例年の110%ほどの集客があったが、7日以降は散々な集客となり、トータルでは例年より若干の集客減となった」(北陸・高級レストラン)とのコメントがある。
企業関連は2.5%ポイントの大幅悪化。製造業、非製造業ともに悪化している。「連休もあり、稼働日数が少ないためか販売が振るわない。その上、業界が米中貿易戦争の影響を少なからず受けているのではないかと思われる」(南関東・電機器具製造業)、「中旬以降は取扱量が大きく減少、半導体を中心に精密機械関係も大きく減少」(九州・輸送業)といった影響が出ている。
雇用関連も悪化し「ここにきて製造業の景気が少し低迷気味。求人募集広告を掲載する企業が少なくなってきている」(甲信越・求人情報誌政策)といった状況もうかがえる。
2─3カ月先を見る先行き判断DIは45.6で、前月差2.8ポイント低下。4カ月連続の低下となった。
家計関連では「消費税増税を意識した買い物が出てくる。軽減税率などの情報を見極めた動きになるため、全体的には慎重になり、節約や倹約志向が強まる」(近畿・百貨店)など、増税への警戒感を表すコメントも出始めた。企業からは「米中間の関税問題で、中国向けの出荷が減少となる製品が多く、先行きが不安」(近畿・金属製品製造業)といった声も多い。
内閣府は、景気ウオッチャー調査の判断の表現を「このところ回復に弱さがみられる」で据え置いた。
(中川泉)