[ソウル 30日 ロイター] – 韓国のサムスン電子が30日発表した第1・四半期決算は、営業利益が前年同期比60%減少した。ただ、同社はメモリーチップとスマートフォンの販売が上向くとして下期には業績が改善するとの見通しを示した。
その上で、短期的には第2・四半期もメモリーチップ価格がさらに下落する見込みで厳しい状況が続くと警告した。
同社は発表文書で「2019年下期には高密度製品向けメモリーチップの需要が増加する見通しだが、不透明な外部環境は続くだろう」と指摘した。
第1・四半期の営業利益は6兆2000億ウォン(54億ドル)で、今月上旬に示したガイダンスと一致。チップ価格の下落やディスプレーパネルの需要鈍化が響いた。
売上高は13.5%減の52兆4000億ウォンで、こちらもガイダンスとほぼ一致した。
中核の半導体事業の営業利益は64%減の4兆1000億ウォン。ディスプレー事業は5600億ウォンの損失を計上した。
同社は、サーバー向けDRAMチップの顧客が第2・四半期末から在庫を再び増やし始めるほか、スマートフォンの新機種がモバイル向けDRAMの販売を支援するとの見方を示した。
アナリストによると、米中貿易摩擦の緩和によっても、家電の累積需要がある程度顕在化する可能性があり、貿易戦争の長期化に備え中国のクラウドサービス企業が積んできたチップの在庫水準もより正常化するとみられる。
HIインベストメント・アンド・セキュリティーズのシニアアナリスト、Song Myung-sup氏は「マクロ経済の面では中国が景気促進に向け国内IT業界を支援する可能性がある。米中が通商合意に至れば、チップなどのサムスン電子の製品への需要拡大につながる」と指摘した。
第1・四半期のモバイル事業の営業利益は40%減の2兆3000億ウォンだった。
サムスン電子は、折り畳み可能なスマートフォン「ギャラクシーフォールド」で、伸び悩むモバイル事業を活性化したい意向だが、画面に関連する問題が指摘され、発売を延期した。[nL3N22441C]
同社はフレキシブルスクリーンの需要低迷を背景に第2・四半期のディスプレー事業について、さえない見通しを示した。
ただ下期にはフレキシブルスクリーンの需要は上向き、スマホの販売もローエンドの「ギャラクシーA」シリーズを含むすべての機種で新モデルがけん引し、改善する見込みとした。