あの「東スポ」が餃子を売り込み、食事業を次の柱に据える理由とは?

構成:西岡 克(フリーランスライター)
取材:阿波 岳 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)

大和フーズを通じて飲食店100店に卸売り

 現在、「東スポ餃子」の主な販売先は業務用で、ラーメン店やすし・うどん店、居酒屋などの飲食店メニューとして提供されている。製造・販売は大和フーズが担っており、同社ホームページによれば、関東16県(東京・神奈川・栃木・千葉・埼玉・群馬・茨城)に加え、宮崎・福岡・大分といった九州地方を中心に、約100店舗に卸している。

 また、東京スポーツ新聞社が20231月に東京・上野でオープンした「東スポ居酒屋・青ノ山」(昼は讃岐うどん店として営業)でも、「東スポ餃子」や唐揚げなど「東スポ食シリーズ」商品を提供している。新商品が出るたびにメニューに加えるなど、認知度向上にも取り組んでいる。

 「東スポ食シリーズ」の売上高(上代価格ベース)は、21年の発売開始から4年間で累計約27000万円に達した。一般消費者向けには公式オンラインショップでも販売しているが、売上の約9割は業務用が占める。なお、東京スポーツ新聞社は在庫を持たず、商品の企画・監修とPR活動を担い、販売元の戸田商事からロイヤリティ収入を得るビジネスモデルを採用している。ロイヤリティ率は商品ごとに異なるが、卸売価格の12割程度だという。

唐揚げやポテトチップス、レモンサワーも発売

 そして224月には、「東スポ食シリーズ」の第2弾とし冷凍食品「東スポからあげ」(同27001kg、発売当初は同2484円)を発売した。餃子と同様にニンニクを多めに使用し、試行錯誤の末、鶏の肩小肉(国産若鶏)を採用。モモ肉やムネ肉に比べて歯ごたえとジューシーさを兼ね備えているのが特長だ。しょうゆベースのタレに漬け込んであり、揚げる直前で衣をまぶす仕様となっている。

「東スポ唐揚げ」は第13回からあげグランプリで金賞を受賞している

 第3弾は2211月発売の「ポテトチップス 焼き鳥味」(同278100g)。人気スナック「わさビーフ」で知られる山芳製菓(埼玉県)が製造を担当し、しょうゆベースのタレ風味マシマシで炭火焼き鳥の味を再現した。236月には、姉妹品として「どて煮味」を発売。この商品は関西支社が発行する夕刊紙「大阪スポーツ」にちなみ、「大スポ ポテトチップス どて煮味」と命名された。両商品は大手食品卸の日本アクセス(東京都)の専売品として販売された。

山芳製菓が製造するポテトチップスも販売している

 さらに、焼肉店の梅田白雲台(大阪府)とコラボし、冷凍真空パックで「大スポ ダイナマイトホルモン」(同1000円)を2212月に発売。234月には、野菜を加えた家庭用商品(同850150g)を関西圏の食品スーパー限定で展開した。

 このほか、飲料カテゴリーでもユニークな商品が登場している。235月には、アルコール度数13%の「驚愕レモンサワー」(同268350ml)、243月にはマムシエキスを配合したクラフトビール「大スポ ダイナマイトラガー」(同520330ml)、同年10月には栄養ドリンク「東スポ お疲れ様ですショット」(同32250ml)を発売した。

レモンサワーやラガーなどアルコール飲料のほか、栄養ドリンクも販売していた

 同期間中に、「東スポ餃子」もバリエーション展開を進めており、15個入りや棒餃子、島トウガラシ入りのおつまみ餃子、キムチ餃子など、新たなフレーバーの開発も進めた。

 

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取材

阿波 岳 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

大学卒業後、社会の荒波にもまれる日々を経験。そこで書籍や会報誌の編集に携わるうちに、メディア事業への興味が芽生え、今に至る。
趣味は喫茶店巡りと散歩。喫茶店での一杯のコーヒーや、街角の散策を生きがいとしている。
これまで全都道府県を制覇するという小さな目標を達成した。何かを極めたり、制覇したりすることには、なぜか人一倍の熱意を注いでいる。
最近の悩みは、ここ数年で増えた体重との戦い。健康の大切さを意識しつつも、喫茶店のコーヒーに合わせたスイーツや、ランチの大盛りがやめられない。今日もまた元気に「大盛で!」と注文しつつ、明日こそ控えめにしようと心に誓っている。

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