コスモス薬品 東北進出、食品構成比6割越えの衝撃!

雪元 史章 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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東北進出までは1~2年 「M&Aは考えない」

コスモス薬品
コスモス薬品の店舗

――売上高は1兆円に迫るが、DgS業界ではウエルシアホールディングス(東京都)とツルハホールディングス(北海道)の経営統合によって2兆円企業が誕生する。どう見ているか。

横山 他社のことについてはコメントしないが、われわれとしては1兆円も通過点に過ぎない。今進めている戦略のもと、消費者に支持される店づくりをしっかりと続けていきたい。

――M&A(合併・買収)による規模拡大はこれまでどおり考えていないか。

横山 まったく考えていない。小さくとも多少の利益が出ているような店は確かにあって、他社がそうした店をM&Aすることはよいと思うし批判もしない。ただしわれわれはそういった小さな店(を手中に収めること)で利益を稼ぐよりも、自社の大型店で大きな利益を稼いでいきたい。大変なことではあるが、丁寧に、集客力のある店をつくっていきたいと考えている。

――(決算説明の中で)長野県と福島県での出店調査を開始すると発表した。福島県に出店するとなると、ようやく東北地方への進出が達成される。実際に出店するまではどれくらいのスパンで考えているか。

横山 あくまで出店調査を開始するということなので、時期は明言できない。また、われわれの出店は大店立地法が絡むので、1~2年はかかるだろう。

――インバウンド(訪日外国人)需要を見込んだ都心部での出店についてはどう進めるか。

横山 東京では歌舞伎町、大阪では心斎橋と道頓堀、福岡では天神などに店舗を構えているが、インバウンド(の取り込み)は副業であり、主要ビジネスではない。われわれの主戦場はあくまで郊外だ。たしかにインバウンドの数は増加しているようだが、それに期待することはない。

「セルフメディケーションの阻害は許されない」 OTC販売制度見直しの議論にチクリ

――OTC医薬品の販売制度見直しを主な論点に、薬機法改正に向けた議論が進んでいる※1。

横山 (若者が多く集まる)歌舞伎町に店を構えていることもあり、オーバードーズの問題については登録販売者が中心になって、声掛けをしながら防いでいきたいと思っている。しかし、大多数の適正利用者の購入を阻害する、言い換えればセルフメディケーションを阻害するような制度改定には反対したい。

 「角を矯(た)めて牛を殺す※2」という言葉がある。今回の問題で言えば「角」はオーバードーズの問題、「牛」はセルフメディケーションに例えられるだろう。「角」は確かに深刻であり対応しないといけないが、「牛」の利便性を損なうことは許されない。

※1:若年層を中心としたOTC薬のオーバードーズ(過剰摂取)が社会問題となるなか、陳列方法の規制強化(来店客が直接手に取れる場所に置かないなど)や、頻回購買の防止(身分証確認や販売記録の保管など)といった販売方法の見直しが、厚生労働省を中心に議論されている。これに対して日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)は店舗側の負担増やセルフメディケーションの阻害リスクを理由に反対を表明している。

※2:曲がった牛の角をまっすぐに直そうとした結果、牛を死なせてしまうこと。転じて、部分的な欠点や問題に手を加えすぎた結果、かえって全体を悪化させてしまうことのたとえ

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記事執筆者

雪元 史章 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

上智大学外国語学部(スペイン語専攻)卒業後、運輸・交通系の出版社を経て2015年ダイヤモンド・フリードマン社(現 ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。

企業特集(直近では大創産業、クスリのアオキ、トライアルカンパニー、万代など)、エリア調査・ストアコンパリゾン、ドラッグストアの食品戦略、海外小売市場などを主に担当。趣味は無計画な旅行、サウナ、キャンプ。好きな食べ物はケバブとスペイン料理。全都道府県を2回以上訪問(宿泊)済み。

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