スーパーマーケットの次世代顧客は「ヤングファミリー」か、「MZ世代」か
多くのスーパーマーケットに共通する課題の1つが、次世代の顧客獲得です。スーパーマーケットは概して団塊とそのジュニア世代の子育てと共に成長してきた業態であり、主要客層の年齢は持ち上がってきました。先を見越せば、若い世代の獲得が欠かせません。2020年~30年代の食の消費を担う、現在の20~30代をいかに獲得するか。彼らをMZ世代(ミレニアム世代とZ世代を合わせた言葉)とも、ヤングファミリー層とも呼びながら、需要獲得の試みが続いています。しかし、ヤングファミリーとMZ世代を次世代顧客として一括りにしてよいものでしょうか? ことは顧客ターゲットの問題なので、厳密に考える必要がありそうです。
ヤングファミリーは世代なのか?
そもそもヤングファミリーは、世代を表す言葉ではないはずです。ヤングファミリー、より一般的な表現として「子育て世代」という言い方もありますが、これは「子育て世帯」と言うべきでしょう。日本人の初婚年齢は男女合わせた平均で30才前後ですから、50代で子育て中の人はざらである一方、40代半ばで子育てを終える人もいるはずです。夫婦で10も20も年齢差がある場合もあり、同じ世帯でも同世代とは限りません。子供のいない夫婦も多く、独身だって珍しくありません。子育ては「世帯」でするものであって、子育てをする特定の「世代」があるわけではありません。
スーパーマーケットで使われるヤングファミリーとは、子育て中の「世帯」を指すはずです。特定の世代を指すのではなく、子育て中というライフスタイルでくくったかたまりです。
子育て中の世帯には、その夫婦が何才であろうと、子供の年齢によって購入するものには似た傾向があるはずです。子供の数によって差は出るでしょうが、子供のいない世帯や単身世帯との違いはもっと大きいでしょう。
子育て世帯であるヤングファミリーといえば、業界ではヤオコーが戦略的なターゲットと位置付けていることで知られています。そのレンジは「49才以下」と設定されており、「49才がヤングか?」 という話に時折なるわけですが、これは会員カードの所有者が大人だからそのような設定になるのでしょう。ヤング=子供を指すのであって、そんなヤングがいる世帯だからヤングファミリーと考えた方が自然です。
スーパーマーケットが「ヤングファミリーの獲得を目指す」という場合、それは子育て世帯を獲得するという意味になります。前述のヤオコーも、川野澄人社長は以前の会見で「スーパーマーケットにエントリーするのは結婚、子育てのタイミング」と語っていました。ヤングファミリーは、ライフスタイル軸のターゲティングであることが分かります。