第119回 ショッピングセンターも“週休2日”の時代へ! 持続可能な営業体制とは
日本の店舗は、営業時間が長く、休業日も少ない。対照的に、デンマークのコペンハーゲンでは日曜や祝日の休業が一般的であり、オーストラリア・メルボルンのカフェは夕方には閉店する。そしてニューヨーク・マンハッタンでも、日曜の夜は早めに店を閉めるケースが多い。では、日本はどうだろうか。朝早くから夜遅くまで営業し、年中無休を掲げる施設も少なくない。利用者にとっては確かに便利だが、果たしてこの長時間営業体制は、今後も持続可能なのだろうか。本稿では、ショッピングセンター(SC)の営業時間をめぐる課題と今後のあり方について考察する。

年中無休がもたらす収益構造とその限界
かつて正月三が日は商業施設の多くが休業していた。おせち料理が続くことに子どもながら退屈を感じた記憶もあるが、大人たちにとっては貴重な休息の時間だったのだろう。
やがて元日営業が一般化し、年中無休の営業形態が広がっていった。売上の底上げを目的とし、対前年比を追い続けるSC運営の構造において、365日営業は自然な帰結ともいえる。
かつて百貨店では水曜または木曜に定休日を設けるのが一般的だった。SCも「大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律」(以下、大店法)のもとでは週1日の休業が義務づけられていたが、規制緩和により1990年代には月2日休業へと緩和された。
その後、日米構造協議を経て大店法が廃止され、2000年には「大規模小売店舗立地法」が施行されるに至った。この転換により、規制の性格は「経済的規制」から「社会的規制」へと移行し、営業時間や休業日数に関する制約は実質的に緩和されたのだ。
しかし、近年は少子化と人口減少に起因する人手不足に加え、働き方改革やワークライフバランスへの社会的要請も相まって、SCの営業時間を見直す動きが広がりつつある。閉店時間の前倒しや、コアタイムを定めたフレックスタイム営業の導入といった事例も見られ始めた。
また、テナントごとに休業日を設定する運営方式が浸透し、従来の「統一的運営」モデルにも変化が及び始めている。24年7月に開業した飲食店街「バルチカ03」(大阪府大阪市)では、各店舗の意向を反映した柔軟な営業体制が導入されており、こうした変化を象徴する先行例といえる。
施設・インフラ老朽化が突きつける持続性の壁
営業時間の問題にとどまらず、今後は、高度経済成長期に建設された建築物の老朽化が進み、下水道施設などのインフラ設備の劣化による道路の陥没といったリスクも顕在化する。結果として、施設やインフラの維持にはこれまで以上に多大な労力とコストが求められるようになる。

それにもかかわらず、大橋や高規格道路、整備新幹線といった大規模インフラの新設は今なお続いている。しかし、生産年齢人口の減少(図表1)が不可逆的に進行するなかで、限られた時間帯にしかメンテナンス作業ができない365日・長時間営業体制を維持し続けることは、今後いっそう困難になると考えられる。
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