第117回 “人海戦術”の終焉!SCが人口減少時代を生き抜くために必要な3つの打ち手とは

2025/06/27 05:00
西山 貴仁 (株式会社SC&パートナーズ代表取締役)

③運営統一の廃止

 これまでSCのアイデンティティであった「統一的運営」(共通営業時間、定休日、サービスの標準化)は見直しの時期を迎えている。今後は、テナントごとの開閉店が容易になるような外付け区画の導入や、フレキシブルな空間設計といった、運営管理不要・最小限の統一を志していくことが不可欠である。

 以上の3点は、従来のSC運営の常識やセオリーから外れている。これまでの成功モデルを信じてきた関係者からは、「それはSCではない」といった声も当然出てくるだろう。しかし現実には、生産年齢人口の減少(図表2)は確実に進行している。自らが築いた“常識”や“成功体験”に固執していては、社会の変化に対応できないリスクが高まる。

 もちろん、立地や規模に恵まれたごく一部の物件では、従来型の運営モデルを継続する選択肢も十分に成立する。だが、全国すべてのSCがそれを追い続ける必要はない。むしろ今後は、各施設が立地や商圏特性、労働市場の実情に応じて、最適な運営規模と体制を柔軟に設計し直していくことが重要となる。「生き残るものは最も強い者ではなく、変化に最も適応できる者である」—―。人口減少時代のSC経営においては、この進化論こそが最大の指針となる。

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記事執筆者

西山 貴仁 / 株式会社SC&パートナーズ 代表取締役

東京急行電鉄(株)に入社後、土地区画整理事業や街づくり、商業施設の開発、運営、リニューアルを手掛ける。2012年(株)東急モールズデベロップメント常務執行役員。201511月独立。現在は、SC企業人材研修、企業インナーブランディング、経営計画策定、百貨店SC化プロジェクト、テナントの出店戦略策定など幅広く活動している。小田原市商業戦略推進アドバイザー、SC経営士、(一社)日本SC協会会員、青山学院大学経済学部卒

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