「全品、定価の半額以下」で4年連続40%成長!アウトレット店「222」とは何か

2023/10/20 05:59
聞き手:中原 海渡 (ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
構成:編集プロダクション雨輝
Pocket

ショッピングモールへの出店を強化する理由

店舗内観③
店舗内観③

 ガットリベロは事業開始当初、ネット販売がメーンの古本屋「かっぱ堂」を運営していた。現業態に転換したきっかけは、11年の東日本大震災だ。揺れで棚から落ちて傷がつき、販売できなくなった商品が現地の体育館の床を埋め尽くすほどあふれていたという。その状態を見かねた荒木氏がその在庫を買い取ったのがアウトレット事業の始まりだった。

 当初は仕入れた商品をネット通販で販売していたが、かさばる商品の送料が割高になるうえ、販売ペースが遅い。やがて在庫が倉庫を圧迫し、苦肉の策で実店舗へと舵を切ったかたちだ。当初は電気が通っていない倉庫で販売を開始し、通行人に声をかけてお客を呼び込んだという。

 すると、破格の価格設定だと消費者のあいだで口コミが広がり、店舗は大盛況に。お客が買物を楽しんでいる表情を目にし、成功の確信を得た荒木氏は屋号を「222」に改め再スタートを切った。その際に思い切って「毎日、全商品が定価の半額以下」をコンセプトにしたところ、客数が増え売上を伸ばした。

 外出が極端に減ったコロナ禍では、売れ残った口紅などのコスメや飲食店に納品されなかった米など扱う商材を増やし、さらなる成功へとつなげた。これまでは単独店での展開が中心だったが、近年はショッピングモールへの出店を強化しており、現在、複数店舗を商業施設「イオンタウン」などに出店している。商業施設内はディスカウントストアやファストファッションショップ、低価格訴求の食品スーパーなどの競合がひしめくが、荒木氏は「競合というよりは共存に近い」と語る。

 「『222』で必ずしも夕飯のおかずがすべてそろうわけではなく、店頭に並ぶ商品は1週間後になくなってしまう場合も多い。『222』は『ついで買い』ができる店舗として機能すればよいと考えている。メーンターゲットは食品スーパーなどを毎日利用する主婦なので、ショッピングモールはターゲットが多く集まるベストな環境といえる」(荒木氏)

 ガットリベロの今後の展望として「10年後に100店舗を展開する、100億円企業をめざす」と荒木氏は語る。しかし、「222」を全国展開させるには、訳あり品を扱うだけでは難しいという。品数を安定させるため、今後はミネラルウォーターや緑茶、米などを中心にプライベート(PB)商品を展開していく予定だ。

 「PB商品も市販品の定価の半額以下で提供したい。工場の閑散期を利用するなど、ローコストに抑える策をメーカーと協議している」(荒木氏)

 半額以下の値段設定にこだわる「222」だが、荒木氏は「使えるのに廃棄されるものを少しでもなくしたい気持ちが根っこにある。商品を求める方とメーカーの架け橋であることが当社の存在意義だ」と語る。

1 2

聞き手

中原 海渡 / ダイヤモンド・チェーンストア 記者

神奈川県出身。新卒で不動産仲介業の営業職に就き、その後ライター/編集職に転身。

2022年10月に株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア入社。ダイヤモンド・チェーンストアオンライン編集部記者として記事執筆・編集を行う。

趣味は音楽鑑賞(ポップス/ロック)と、最近はレコード&カセット収集。フィジカルメディアが好きで、本も電子書籍より実物派。

© 2024 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態