広告主に支持されるリテールメディアとは 自社だけよりも横断型が良い理由 

2023/09/20 05:59
徳久真也(博報堂ショッパーマーケティング事業局長)
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広告を出稿しにくいリテールメディアとは?

 それでは、逆に広告主視点で広告を出稿しにくいリテールメディアとは何でしょうか?

  それは、「購買効果指標」しか提供されないリテールメディアです。これは意外に思われる方もいらっしゃるかもしれません。リテールメディアの特色として、広告接触者の購買リフト効果を定量的に可視化できるという点が挙げられます。購買効果が可視化されるのはよいのでは?と思いますよね。

  もちろん、購買効果指標はリテールメディア出稿後の結果レポートで広告主が求める大切な指標の一つです。しかし、それだけでは実は広告主のニーズを十分に満たしているとはいえません。なぜでしょうか?

  リテールメディアの広告出稿原資を負担するのは、メーカーの「営業部」に加えて、「宣伝部」の場合もあるからです。リテールメディアの出稿を担っているのは、現時点では営業部が主体です。営業部は、販売促進・売上アップにつながる施策を重視するので購買効果指標だけでも問題はありません。一方で、宣伝部は広告目線でメディアを評価しており、ブランドの認知・理解・購入意向などへの寄与度、獲得したいターゲットの解像度の向上など、広告目線での価値を求めています。そのため、購買効果指標しか提供されないと、宣伝部視点では成果を十分に評価することができず、リテールメディアに投資する必然性が低くなってしまうため、予算取り・社内説得がしにくくなるという事情があります。

  そのため、購買効果指標は重要な指標として基本的に押さえつつも、ブランド関連指標も提供がなされるとより「出稿しやすい」裾野の広いメディアとなります。また、効果指標やレポートについても、小売業ごとに別々の基準が採用されていたり、フォーマットがバラバラなのが現状です。こうした指標やフォーマットを標準化していくことも、広告主がリテールメディアにより出稿しやすくするための大切な視点だと考えています。

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