書店数が激減するなか、ローソンが「マチの本屋さん」を続々オープンする理由
ビジネスモデルは「スリーエフ」のノウハウを踏襲
書店併設型店舗のビジネスモデルは、「スリーエフ」のノウハウを引き継いだ。ローソンとスリーエフ(神奈川県/山口浩志社長)は2016年に合弁会社のエル・ティー・エフ(同)を設立し、ダブルブランド店舗の「ローソン・スリーエフ」を展開するなど協業関係にある。このスリーエフは約30年前から書店併設モデルを運営しており、「コンビニ併設書店における売れ筋商品や、オペレーションを共有していただいた」(ローソンエンタテインメントカンパニーシニアマーチャンダイザー平野彰宏氏)。
「LAWSONマチの本屋さん」では、売上高構成比の高いコミックを多く品揃えするほか、コンビニのおもな客層である40~50代に向けた定期誌を強化している。加えて、「書店で実際に絵本を手に取って選びたいが、近くに書店がなかったという子連れのお客さまから好評をいただいていている」(河本氏)と、絵本も品揃えする。ほかにもPontaカードによって得られた情報を基に地域の客層に合わせた品揃えを意識しているという。
また、各店にはジャンルを絞らず選書できる棚を設け、地域に根差した「ご当地本」を並べているのも大きな特徴だ。たとえば「日立駅前店」(茨城県日立市)では日立製作所に関する書籍や「碧南相生町三丁目店」(愛知県碧南市)では、名古屋鉄道や周辺地域の歴史について記した書籍を置いており、お客から支持を得ている。
今後も書店空白地への出店を進める
書店併設型店舗の今後については、変わらず書店が少ない地域に出店し、コンビニに20~30坪の書店売場を併設した店舗を展開していくとした。そのうえで、「たとえば店舗の広さが確保できない場合でも、出店を断念しないような工夫をしていく」(河本氏)とした。実際に2月22日には、増床改築工事をせず、店内のレイアウト変更によって従来の4分の1程度の広さの書店スペースを確保した「石巻相野谷店」(宮城県石巻市)をオープンしている。
また、エンターテインメント商品にも注力していく。ローソンはブックレットにキャラクターグッズが入った「開発品」を多く取り扱いしている。売上構成比が高いコミックと、そのキャラクターを使用した開発品や一番くじなどとシナジーを創出し、さらなる売上向上をめざす考えだ。