運用30年のプロセスセンターの“匠”オギノ、緻密な物流体制と鮮魚黒字の秘密とは
山梨県内を中心に食品スーパー(SM)やショッピングセンターを47店展開するオギノ(山梨県/荻野寛二社長)は、1990年代からプロセスセンター(PC)を導入しチェーンオペレーションの効率化を進めてきた。PC活用のパイオニアともいえる同社の取り組みと今後の戦略を取材した。
90年代に一気に6つのセンターを稼働
オギノが生鮮PCを導入したのはSM業界のなかでも早期の1993年9月。中央自動車道「笛吹八代」インターチェンジから北西約1kmの場所に、「オギノ生鮮センター」(山梨県笛吹市)を稼働した。これを皮切りに99年までの間に、グロサリー、衣料品、用度品、住居関連品のセンターを同市内にオープン。さらに隣接する甲府市に青果のセンターも開設し、一挙に6つの物流センターを建設した。
当時のオギノの店舗数は23店で事業規模は現在の半分程度だった。それにもかかわらず大規模投資に踏み切った背景には、同社の商勢特性がある。
当時のSM業界では、店舗への商品供給方法は、食品卸企業が各店舗まで商品をまとめて運ぶ形式が中心だった。しかしオギノが店舗展開する山梨県は、人口がピークだった2000年でも約89万人とマーケットが小さいことから、食品卸企業が参入せず協力を得るのが難しいエリアだった。
そこでオギノが構想したのが、アクセスのよい場所に物流拠点を開設して、メーカー各社に全店分の商品をまとめて納品してもらい、それを各店舗まで配送する方法だ。これを実現するには、配送トラックの積載効率を高める必要があり、生鮮やグロサリーといった食品だけでなく、衣料品や住居関連品も集約した一大物流拠点を構築するに至ったのだ。
当時常務取締役として物流を統括していた荻野寛二社長は「非常に大きな決断だったが、将来的に当社の商勢圏では人手不足が深刻化し、店舗作業に人員を割くのが難しくなることは見えていたため先行投資に踏み切った」と振り返る。
稼働当時は生鮮PCの先行例はほとんどなく、また店内加工が定着しきっている店舗側の理解を得るのが難しかったことから活用がなかなか進まず、生鮮PCが軌道に乗るまでに2年ほどの期間を要したという。
約30年のノウハウが蓄積された綿密な物流体制
オギノがとくに先進的だったのが、
経営課題を解決する プロセスセンター新時代! の新着記事
-
2021/08/05
手直し不要革命!日本キャリア工業が放つ、大ヒットAtoZ専用の自動盛り付け機とは -
2021/08/04
SMの鮮魚改革はプロセスセンターだけじゃない!部位別納品を手掛ける水産メーカーを活用せよ -
2021/08/04
プロセスセンターの自動化進む なんつねの自動盛り付け機、スコーピオンの実力とは -
2021/08/03
総菜業界唯一の製造小売業ヒライ 出来立て・美味しさ・長持ちを実現するために工場で行うこと -
2021/08/03
製造小売業へ舵を切る!中国地方のスーパー、フレスタのプロセスセンター戦略の全貌 -
2021/08/02
鮮魚PC比率100%の店も!店内加工よりも高品質の商品を製造、丸久のプロセスセンター戦略
この特集の一覧はこちら [17記事]
オギノの記事ランキング
- 2024-10-25週刊スーパーマーケットニュース コープさっぽろ、江別市の鉄道林跡地へ来年6月に出店を計画
- 2012-03-023年で17店の競合が出店、お客様一人ひとりの満足度を高めて勝ち残る=オギノ荻野寛二社長
- 2024-03-18オギノ、事業の要商品・店舗運営・出店と一体化した物流戦略を推進
関連記事ランキング
- 2024-11-08怒濤の出店で1兆円が見えたロピア!大きな進化と懸念される副作用とは
- 2024-11-07「Foods Park」の17店舗目はイオンの跡地に居抜きで出店!
- 2024-11-18レシートは語る第15回 まもなく関西進出のオーケー、データでわかる競争力と成功のカギ
- 2024-11-0633億円めざすマミーマート、生鮮市場TOPセキチュー上尾店徹底解説
- 2024-11-12価格訴求から価値提案にシフト?「岡崎エルエルタウン店」で見られたロピアの進化
- 2024-11-08専門家がヤオコー久喜吉羽店を徹底分析!斬新な鮮魚改革と意外な課題とは
- 2024-11-08店舗網とM&Aの歴史が丸わかり!最新ロピア勢力図MAP!
- 2024-11-18既存店の数字が良い企業は実践!競合スーパーが進出しても影響を受けない方法
- 2024-10-25物言う株主時代に脚光!宅配以外もスゴい「生協」の事業モデルとは
- 2024-11-13繁盛店は80億円!ロピア、強烈な販売力支える「100%現場主義」の正体とは
関連キーワードの記事を探す
週刊スーパーマーケットニュース アオキスーパー、「レジ専用イス」を全店に設置が完了
冷食、京都MD強化 イオンスタイル伏見桃山の売場づくりを解説
子育て世代をターゲットにするヤオコー川口SKIPシティ店の最新MDを徹底解説