アクセンチュア 「テクノロジービジョン2021」を発表、デジタル格差が拡大する中、「変化の達人」が未来をけん引
アクセンチュアは、世界のテクノロジートレンドに関する最新の調査レポート「Accenture Technology Vision 2021(テクノロジービジョン2021)」に関する説明会を行った。同調査は31カ国、14の業界にわたる6,241人の企業経営層およびIT担当幹部を対象に実施された。
同社テクノロジーコンサルティング本部 インテリジェントソフトウェアエンジニアリングサービスグループ日本統括 マネジング・ディレクター 山根圭輔 氏は、「新型コロナ禍で、デジタル化が加速し働き方やビジネスの形態が変化を余儀なくされた。テクノロジーを活用する企業が未来のビジネスを再創造し成長できる」と語り、企業があらゆる事業領域において変化を促し、テクノロジーの力を取り入れることができる「変化の達人」になるために、今後3 年間で押さえるべき5つのテクノロジートレンドについて解説した。
①テクノロジーの戦略的集積
新たな業界競争の時代が幕を開ける中、IT システムのアーキテクチャが競争力を左右する。
テクノロジーを活用するためには、テクノロジーに関する考え方を変え、ビジネス戦略とテクノロジー戦略を融合させることが不可欠。今回の調査では、回答者の89% が「自社のビジネス価値の提供能力は、今後より一層、自社が持つテクノロジーアーキテクチャの能力に左右される」と回答した。
②ミラーワールド
リーダー企業は、工場やサプライチェーン、製品ライフサイクルなどをデジタル空間に再現するため、インテリジェント化されたデジタルツインの構築に取り組んでいる。データやインテリジェンスを組み合わせて現実空間と同じ世界をデジタル空間で構築することによって、新たなオペレーションやコラボレーション、イノベーションの可能性が生まれる。今回の調査では、65%が「今後3 年間で、インテリジェント化されたデジタルツインへの投資を増やすだろう」と回答した。
③一人ひとりがテクノロジスト
あらゆる事業部門の従業員が、テクノロジーがもたらす強力な機能を利用できるようになり、従業員一人ひとりの取り組みが、企業のイノベーション戦略において重要になった。すべての従業員がイノベーターとなって業務を最適化して、課題を克服し、ニーズの発生や変化に合わせてビジネスを維持することが可能になった。今回の調査では、88%が「全社的なイノベーション推進にはテクノロジーの民主化が不可欠だ」と回答した。
④あらゆる場所が仕事場に
企業は仕事場の境界線を広げることで、労働環境に大きな変化をもたらした。人々は“自社環境の持ち歩き”が可能になり、自宅やオフィス、空港、パートナー企業のオフィスなど、どこからでも円滑に仕事ができる環境が整った。リーダー企業は、企業としてのパーパスを再考し、自社ビジネスの再創造を進めている。今回の調査では、81%が「業界をけん引する企業は、“私物端末の業務利用(Bring Your Own Device)”から“自社環境の持ち歩き(Bring Your Own Environment)”という労働環境に転換し始めるだろう」と回答した。
⑤「個」から「全体」へ
接触追跡システムや、フリクションレス決済のほか、新たな信頼構築方法に対する需要が増えたことにより、企業の既存のエコシステムでは未対応だった分野が注目されるようになった。企業は、業界を横断したデータ活用を可能とするマルチパーティシステムを構築することで、レジリエンス(危機からの回復力)や適応力の向上、市場開拓手法の拡大、業界のエコシステム形成を見据えた新たな基準の設定などを進めることができるようになった。
今回の調査では、90%が「マルチパーティシステムを構築することで、パートナーとの新たな価値創出に向けて、よりレジリエンスや適応力に優れたエコシステムの形成が可能になる」と回答した。