製造小売化で独自のポジション築きたい=マックスバリュ九州 佐々木 勉 社長

聞き手:千田 直哉 (株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア編集局 局長)
構成:森本 守人 (サテライトスコープ代表)
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柔軟な商品開発態勢

──商品分野の改革についてですが、戦略的に強化しようと考える部門はありますか。

佐々木 「簡便」「即食」をキーワードとする商品群の需要が拡大しているのを踏まえ、当社は、とりわけデリカ部門に力を入れています。

──デリカ部門では、すでに「おかずバイキング」の売場が強い支持を得ています。

佐々木 総菜を100g、128円(本体価格)で量り売りするサービスで、おかげさまで連日、多くの利用者があります。200種類あるレシピのなかから、売場では常時100種類のメニューを展開、週に5種類ほどを入れ替えています。今後は、この「おかずバイキング」を含め、品揃えが少ない和食や、九州の地域性が感じられるようなメニューを積極的に開発、当社の独自色を出していきます。

──生鮮食品については、どのような考えですか。

佐々木 鮮魚部門では寿司や刺身、精肉部門では味付け加工した半調理品などの充実も図っています。

 長くSM業態は、素材を提供することで消費者ニーズに応えてきました。しかし時代は変わり、もはや素材のままでは売れない時代になっています。

 青果部門、鮮魚部門、精肉部門の産地関係者とは、素材の加工度を上げた商品の重要性を共通認識として持っており、新たな商品の形について一緒になって模索しています。

 必要となればプロセスセンター(PC)の設置も視野に、産地や取引先と連携した新たな品揃えを構築していきます。

──製造小売業への取り組みを強めるということですね。佐々木社長はかつて、イオングループで畜産、水産、デリカ商品の製造加工などを手がける、旧フードサプライジャスコ(現イオンフードサプライ〈千葉県/間處博子社長〉)の社長でした。その点、製造小売業の視点に立ち、新たな品揃えを実現するためのノウハウを持っています。

佐々木 経験を生かし、今後は仕入れの手法も見直します。たとえば、デリカで使う野菜を青果部門のバイヤーが仕入れるなど、他の部門との連携を強めることで、柔軟に新しい商品を開発できる態勢を整えます。ただ実際に何をつくるのかは未定です。今後、時間をかけ検討します。

毎年7~8店の積極出店

──店舗については、現在、主に4種類のSMフォーマットを使い分け、ドミナント化を進めています。

佐々木 主力としているのが「マックスバリュ」(売場面積2000平方メートル)、次に小型モデルの「マックスバリュエクスプレス」(同1000平方メートル)で、この2つは原則として24時間営業です。さらに低価格を武器とするDS「ザ・ビッグ」(同2000平方メートル)、小型の「ザ・ビッグエクスプレス」(同1000平方メートル)を加え、計4種類があります。「エクスプレス」は主に都市部向けで選択するなど、立地や競合状況を総合的に判断しながら店舗を配置する方針です。

──ここ数年は毎年7~8店と、出店ペースが加速しています。

佐々木 今年7月、鹿児島県霧島市に「マックスバリュエクスプレス松木店」を出したほか、前述の黒崎店、くりえいと宗像店をオープンしています。15年2月期は、それらの店を含め計6店の新店を計画しています。

──九州マーケットは、SMに加え、ディスカウントストア(DS)、食品の売上構成比が高いドラッグストア(DgS)、コンビニエンスストア(CVS)が台頭、業態を超えた競争が激化しています。これに対し、マックスバリュ九州をはじめとするイオングループは新規出店のほか、M&Aを通じ、事業規模の拡大を進めています。

佐々木 当社は13年7月、佐賀県白石町を地盤とするSMのクリエイトを買収、子会社化しました。またイオンは今年9月、九州北部を中心に店舗展開するレッドキャベツ(山口県/岩下良社長)を連結子会社化したほか、ダイエー(東京都/村井正平社長)を15年1月1日付けで完全子会社にします。

──店舗網が大きく変化する可能性があります。

佐々木 当社としてはこれまで同様、積極的な出店によって店舗網拡大を進めます。できればもっと増やしたい気持ちもあります。ただ一方では建築コストの高騰というリスク要因も大きいため、慎重に判断していきたいと思います。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

構成

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

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