製造小売化で独自のポジション築きたい=マックスバリュ九州 佐々木 勉 社長

聞き手:千田 直哉 (株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア編集局 局長)
構成:森本 守人 (サテライトスコープ代表)
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九州全県で食品スーパー(SM)を展開するマックスバリュ九州(福岡県)。業態を超えた厳しい競争が繰り広げられる九州マーケットにあり、積極的な出店策のほか、M&A(合併・買収)を通じ着実に店舗網を拡大している。佐々木勉社長に、今後の事業展望について聞いた。 

弱まる低価格のインパクト

──2014年5月、新社長に就任以来、約半年が経過しました。今期に入っての業績を教えてください。

マックスバリュ九州 代表取締役社長 佐々木 勉マックスバリュ九州代表取締役社長
佐々木 勉(ささき・つとむ)
1955年生まれ。79年3月ジャスコ(現イオン)入社。04年9月、イオン関東カンパニー食品商品部長、07年10月、フードサプライジャスコ(現イオンフードサプライ)社長、11年4月イオンアグリ創造取締役、14年5月から現職

佐々木 今年3月の売上高は、増税前の駆け込み需要により全店ベースで対前年同月比8.4%増と、今期は好調なスタートを切りました。増税後の4月は同0.7%減でしたが、5月以降はこれまで同2~3%増で推移しています。ただ既存店ベースでは、5月に前年実績をクリアして以降、それほど芳しいとは言えません。

 2015年2月期の第2四半期決算(連結)では、売上高723億7700万円(同5.2%増)、営業利益5億800万円(同41.1%減)と増収減益でした。

 9月も同様の結果でしたが、下期に入ってオープンした「イオンタウン黒崎」(9月11日オープン、福岡県北九州市)、「マックスバリュくりえいと宗像店」(10月2日、同宗像市)の売上高が計画値を大きく上回っていることが寄与し、業績は回復傾向にあります。

──既存店の前年割れは、何が原因だったと分析していますか。

佐々木 天候不順の影響は大きいと思います。けれども、根本にあるのは、当社の商品政策が消費者ニーズに対して十分に応えられていないことです。

 たとえば、毎週木曜日に実施している「木よう市」は当社の重要な販促策ですが、お買い得品として提供しているのはグロサリーやデイリーなどの比率が高いのが現状です。調味料など、ダウントレンドのカテゴリーも多く含まれています。したがって、日常的に当社SMを利用している方には飽きられている可能性があります。

 かつてSMは、メーカー希望小売価格を定期的に半額で販売するといった、ハイ&ローの価格政策で集客していました。しかし現在はEDLP(エブリデー・ロー・プライス)が主流で、スポット的な低価格のインパクトが弱まりつつあります。

 メーカーは新製品を投入する頻度を高め、購買を刺激しようとしていますが、残念ながら消費者の購買を促進することにはつながっていません。

──そんななかで、どのような手を打ちますか。

佐々木 商品政策や店舗政策を抜本的に見直し、改革を進めます。商品は「簡便」「即食」などをキーワードにした品揃えを充実。また消費者にとって利便性が高く、魅力的であるという視点のもとで店舗網を再構築し、競争力の強化を図る考えです。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

構成

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

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