セブン&アイとイオンが先行 カーボンニュートラル社会に向け、リアル店舗“だから”果たせる役割とは
排出CO2やプラ容器の削減に邁進する大手
イオングループは今年9月、プラスチック使用に関する新たな方針を打ち出しました。18年に表明した2050年のカーボンニュートラルに向けた取り組みの一環で、プラスチックの使用に関してもCO2排出ゼロを目指し、中間目標として2030年には使い捨てプラスチックの使用量を18年比で半減させるとしています。
イオンの資料によると、グループでは使い捨てプラ使用量の約8割が販売用資材で、そのうち約4割がレジ袋になっています。30年にはレジ袋の使用量を18年比の10分の1に圧縮する計画です。グループ全体のレジ袋辞退率は、18年の65%から20年7月時点で85%に上昇しています。
さらにPB商品のパッケージ変更、プライベートブランド(PB)飲料のペットボトルは100%再生素材もしくは植物由来に切り替えるとしています。イオングループのスケールでやるわけですから、その影響はPBに限らず、メーカーの製造一般に波及しそうです。
セブン&アイグループも19年に、2050年をターゲットにした環境目標を策定しました。13年比でCO2排出量を8割以上カットするというもので、プラスチック使用に関しては50年にはPB容器を100%環境配慮素材に、レジ袋については30年にプラ製をゼロにするといいます。
プラ製レジ袋の大幅削減に向けた道すじは、小売業全体で既に見えつつあります。しかしプラスチック全般でみると、リサイクルやリユースの道すじをもっと広げないといけないようです。安価で変質しにくいプラスチックは有益な素材ですが、ゴミになってしまうと、その性質が実に厄介です。使い捨てせずにリサイクルに回すためには、使い終わったプラ容器を回収するプロセスが欠かせません。
すでにリアル店舗は資源の回収拠点として機能しており、多くの企業が回収に取り組んでいるわけですが、今後はより大切な役割を担うことになりそうです。というのも、リアル店舗を構える小売こそが、回収したものを再資源化し、商品パッケージとして再利用する“循環”を作れるからです。