借金300億円を6年半で返済! 鹿児島タイヨー副社長が「断行」した経営立て直し術
店舗を立て直すために何を変えたのか
■店舗や各部門での改革・意識改革
①赤字店舗の立て直し
・小規模改装(人間力と掃除力を活用した150万~200万円規模の改装)
・徹底したバックルーム、トイレ、窓の掃除
・お客さまが入りやすい通路幅と導線の確保
・お客さまのニーズにあった量目の見直し(世帯人数が減っている現在の状況に合わせる)
②赤字部門の立て直し(精肉・食品以外全部門赤字→すべての部門が黒字に)
以前は、自分たちの部門は赤字でも、他の部門で補ってもらえればよいという考えでした。 そこで事業部制の考えを打ち出し、部門内で損益を管理することにしました。
③改革実行のための意思統一――会議のたびにみなさんに伝えてきたこと
・1年目「売上」から「営業利益」へ
・2年目「人時売上」から「労働分配率」へ
・3年目「ローコストオペレーション」 (後に「チェーンストアオペレーション」 )
・4年目「経営者意識」
・5年目「無駄をなくす」
・6年目「筋肉をつける」
・7年目「前向き」
これらに取り組んだ結果、かつて 90数店舗あまりの中、 50店舗以上に及んでいた赤字店舗は、現在、かなりの数まで縮小しています。また、オーガニック指向の食品スーパーのオンリーワンでも経営改革を進め、かつては8年間、年間5000万円の赤字続きだったものを意識改革、ローコストオペレーションにより、5カ月で黒字化を果たしました。
現在は新しい業態にも挑戦しています。一つ目は、ローコストで運営するプロトタイプ店です。入荷した商品はすぐに売り場に並べてバックルームには在庫を持たないようにし、我が社通常の店舗の3分の1の人員で運営できるようにした200坪ほどのお店です。
すでに 10店舗ほどオープンしていますが、すっきりと洗練されたデザインが新鮮で、お客さまから大きな支持を得ています。今後、厳しい既存店もこのタイプに徐々に転換していくつもりです。
二つ目が小さな試みですが、スーパー内で薬を販売する売り場を作ることです。ドラッグストアは本来の薬ばかりでなく、グロサリーをはじめ、酒、米、生鮮などを格安で扱い、食品スーパーにとっては手強い相手になっています。それに対抗して、我が社の店舗でも薬を扱えるようにしたのです。今や小売業の垣根はないと思います。
2015年から社内で登録販売者の勉強をしていただき、2016年より、本部にモデル店舗を作って社員向けに薬の販売実験を始め、現在は5店舗ほどで営業しています。医薬品を販売できる専門職・登録販売者の育成も図り、現在145人ほどにまで増えました。
三つ目が、よりよいモノを安く、より多くの方に利用していただきたいと始めた超ローコスト運営のディスカウント業態です。2020年、宮崎地区の赤字7店舗から始めます。今期中には結果を出す予定です。