新型コロナウイルス感染症拡大に伴う経済の停滞により、コロナ不況が始まっている。こうした中、注目を集めているのが、新機軸の新宅配ビジネスを打ち出した帝都産業（東京都八王子市）の「K-VAN RENTAL」である。宅配・配送の業務が急拡大している中で、ドライバー不足を解消する新しい仕組みに関心が高まっている。個人事業者、法人向けも併せて社会問題の解決につながる新機軸ビジネスをレポートする。
“黒ナンバー取得”、車両レンタル含めたトータルパッケージ
緊急事態宣言解除後、コロナ第二波、第三波を心配しながら経済活動が動き出している。中でもECおよび飲食店のテイクアウト需要が急増したことで、宅配・配送業務がクローズアップされている。非接触の集客が厳しい折、店からテイクアウトのメニューを届けるという新しいやり方を苦肉の策で始めている飲食業も少なくない。
高まる需要の一方で、宅配・配送業界の人手不足は著しい。そこで、需要が高まる宅配・配送業務における人材不足の解消を目的とした、新たなビジネスが登場している。
手がけるのは、宅配業のパイオニアであり、ドミノピザ日本1号店に宅配バイクを納入した実績を持つ帝都産業。そのサービスとは、これから事業主としてやっていこうという人などに向け、“黒ナンバー”取得から、配送に必要な軽自動車を含め、開業に必要なすべてをレンタル方式でサポートする新しいビジネス、「K-VAN RENTAL」である。なお、黒ナンバーとは、軽自動車を対象とした事業用ナンバーのことで、軽貨物自動車を使用して貨物の輸送を行う運送業のことだ。
もともと、帝都産業はデリバリーバイクを始め、電動アシスト自転車のレンタル事業のほか、宅配用品の関連事業、ECを手掛けていた。そうした中で、顧客から宅配業務参入の要望を受けて、軽バンを使った運送業務の従事者の増加を狙ったビジネスをスタートさせた。
“他にないものを創り、新しい時代を切り拓く”が経営理念
「Ｋ-VAN RENTAL」サービスを活用すれば、最短で５日間、一人（1台）からでも開業できる。同サービスのキャッチフレーズに「簡単に黒ナンバーを取得、すぐに開業、しっかり稼ぐ」を掲げ、従来、あまり稼げなかった配送業者と違い、素人でも稼げる（支払いも2週間か、1カ月以内）という特徴をうたっている。
帝都産業は黒ナンバー取得者の応援者（サポート）の位置づけで、初心者と一緒に伴奏する仕組みを実現している。こうしたユニークなビジネスを生み出す素地はどこにあるのか？
帝都産業は「他にないものを創り、新しい時代を切り拓く」を企業理念に掲げ、市場ニーズを捉え、費用対効果の見合う範囲で実現することを強みとする会社である。宅配、レンタル、市場ニーズなどを踏まえ、「運ぶ・届ける、そして、ご用聞き」をキーワードにこれまで様々な事業を展開してきた。特に、「ご用聞き」は顧客に商品を届けた際に「顧客の声を聞く」ことによるニーズ把握も兼ねて展開してきた。その企業文化が、新たなビジネス展開を可能にしていると言えるだろう。
「Ｋ-VAN RENTAL」の費用はどれぐらいなのか。今、応援キャンペーン価格で、軽自動車のレンタル代込みで、関東、東海、九州、中国エリアなどは3カ月プランで月額5万円、6カ月プランで同4万5000円、12カ月プランで同3万5000円。東北エリアは12カ月プランで同4万円。なお料金は任意保険料を含まない。また、自分が所有する軽自動車で貨物軽自動車運送事業を始める人に対しては、「クロトル」というコンサルティング事業を行っている。
帝都産業が打ち出した事業への関心度は高く、既に、約100人の事業者が参加し、全国から問い合わせなどが殺到している。今後の動きに注目したい。