高崎髙島屋の直営セレクトショップが”百貨店離れ”の世代に刺さった理由
髙島屋グループの高崎髙島屋(群馬県/倉橋英一社長)が自主編集するコンセプトショップ「maison・de・F(メゾンドエフ)」が人気で話題を集めている。遠方から新幹線に乗って買物に訪れる人もいるという。どういった点が魅力なのか。なぜ人を引き寄せるのか。ショップを立ち上げたバイヤーの中里康宏氏に話を聞いた。
生産者に話を聞き、製造現場を見てセレクトした商品を並べる

きっかけはワイシャツ売場を担当していたとき、商品についてうまく説明できなかったことだった。シャトル織機で作られた生地とタグに記されていたものの、理解が浅く、来店客にその魅力をしっかり伝えられなかった――。そこで中里氏はシャトル織機を用いて織られる遠州織物の産地・静岡県浜松市まで足を運び、メーカーの工場を見学させてもらった。
「服ができあがるまでに数多くの工程があり、たくさんの職人の手が必要とはわかっていたものの、実際に見てみると想像以上だった。実際に生産される現場で感じたことをきちんと伝えて売っていくことがとても大切だと思えた。同時に地元で長年続いてきた産業であるにも関わらず、地域の人にもあまり関心を持たれていないと聞いて、売り手としても何とかしなければと感じた」(中里氏)

その時に工場見学をさせてもらったメーカーが古橋織布。メーター単位で生地を買うことができたため、少量を買い付けて長野県にある縫製工場でワイシャツを作ってオリジナル商品として販売したところ、1着の価格が1万2000円程度するにも関わらず、すぐに完売した。
「有名ブランドでもない、まったく知名度のないオリジナル商品にもかかわらず、想定外に売れた。ものづくりのストーリーや開発の背景をお客さまにお伝えしたことが共感や感動を呼び、お買い上げいただけた」と中里氏は振り返る。これが2019年のことだった。そして髙島屋の社内起業制度「フューチャープランニング」にエントリー。最終プレゼンを通過し、経営陣からGOサインをもらって「メゾンドエフ」を設立。2020年3月、高崎髙島屋の4階に15㎡の売場を開設した。

「毛織物の愛知県、織物の山梨県富士吉田市、刺しゅう・織物の地元群馬県桐生市など、全国の産地に足を運び、生産者に話を聞き、製造現場を見せてもらったうえでセレクトした商品を店頭に並べた」(中里氏)





注目急成長企業も多数ランクイン!日本の小売業1000社ランキング151~1000位を全公開


