フードホールとコンセプト店舗を展開、ぐるなびが実店舗ビジネスを拡げる理由とは
最初は社内も商業施設もネガティブな反応
実店舗ビジネスに参入すると決めた当初、社内は歓迎ムードではなかった。「既存の事業に愛があるからこそなので、杉原とはよく『健全な反応だね』と話していた。しかし、既存事業で培った飲食店とのつながりは新規事業に活きるため、結果を出していけば理解してもらえると思った」と小田氏は言う。実際に事業がスタートすると、雰囲気はガラッと変わった。
しかも、商業施設を運営しているディベロッパーとの交渉も簡単ではなかった。企業が商業施設の区画を借りて飲食店を誘致していくというビジネスモデルは珍しかったので、「良さそうだけど前例がないから」という渋い反応。後押ししたのは時代の流れだった。
商業施設としては、施設の利用者が喜ぶ店舗を誘致したいという思いはあるものの、流行り廃りが激しい今の時代においては、人気店であっても数年後には利用者が激減していることもあり得る。飲食店とのつながりが強いぐるなびが全面的にプロデュースすることで、どんな店を誘致すればいいか、あるいは店を入れ替えるべきか、などを提案できる。商業施設側に「それが最適解なのではないか」と思ってもらえたことで事業が前進した。