フードホールとコンセプト店舗を展開、ぐるなびが実店舗ビジネスを拡げる理由とは
顧客の声から生まれた新規事業
ぐるなびといえば、飲食店の情報を集めたサイト「楽天ぐるなび」の印象が強いが、なぜ実店舗ビジネスに参入したのか。
これは2019年6月に楽天の常務執行役員からぐるなびの社長に就任した杉原章郎氏の影響が大きい。
杉原氏は就任直後、全国のぐるなびと関わりの深い飲食店へ出向き、何か手伝えることはないか、困っていることはないかヒアリングを実施した。そこで挙がったのが「2号店、3号店と、もっと店舗を出したいがお金や人員の問題で難しい」という声だった。
一方、商業施設側には魅力的な飲食店を誘致したいという思いがあった。なぜならECの台頭により、顧客が実店舗に来店して物を買う頻度が減っていたからだ。そのなかで施設を盛り上げてくれるのは「食」であるが、飲食店誘致は容易なことではない。
これら2つの悩みを聞いた杉原氏は、飲食店と商業施設の橋渡しをすることに決めた。それがGURUNAVI FOODHALL WYEだ。ただ、事業部が立ち上がった時期はコロナウイルスの感染拡大を防ぐロックダウンと同時期だったそう。
「数か月は思うように動けない時期が続き、先行きは不透明だった。大変な時期ではあったが、コロナ禍で商業施設の空き区画が増えた点は不幸中の幸いだった。我々の事業で空いた区画を埋められれば、商業施設にも飲食店にも喜んでもらえる」(小田氏)