ナルミヤ・インターナショナル國京紘宇新社長が語る、EC軸とする新たな成長戦略とは
マルチブランドのポートフォリオも重視
――社長に就任されてから、2023年度の足元の業績はいかがですか。
國京 2022年度よりも順調な立ち上がりです。「コロナ明け」のムードが高まり、お客さまが店頭に戻ってきているのが大きいですね。例えば、プティマインが伸びていますし、海外ライセンスの「ケイト・スペード ニューヨーク キッズ」「ポール・スミス ジュニア」なども勢いが増しています。
――一方で、2008年にスタートしたECチャネルにも、力を入れています。
國京 現在、ECの売上規模は80億円を超え、EC化率は約25%まで拡大しました。ECはコロナ禍でにわかに脚光を浴びましたが、中長期的に見て、販路としてウエートが増すことは明らかです。早めに手を打っておくのに、越したことはありません。ただし、重要なのは、あくまでもリアル店舗とECのシナジーを追求するOMOです。 EC化率のアップにはこだわっていません。それよりも今後は、ECならではの特性や強みを生かしていきたいと考えています。
――具体的にはどのように生かしていくのでしょうか。
國京 当社は、ZOZOTOWNや楽天といったE Cモールにも出店していますが、ECの売上構成比では、自社サイト「ナルミヤオンライン」が約50%を占めます。当社はマルチブランド戦略を展開しているので、ナルミヤオンラインにも15ブランドが集結し、ワンストップ・ショッピング、比較購買や使い分けができるのが、ほかの子供服ブランドと違った特性です。
例えば、「比べてみたら、違うブランドで同じようなアイテムが複数ある」といったことがわかり、カニバリを解消しやすくなります。それに、「ブランドの強み、差別化のポイントは何か」という、ブランディングに磨きをかけることにもつながります。例えば、ひと口に「おいしい」と言っても、ケーキとラーメンのおいしさは、全く違いますよね。同じように、「かわいい」と言っても、当社のプティマインと「メゾピアノ」のかわいさは、それぞれ違うはず。その違いをブランドコンセプトとして落とし込んで、「お客さまにきちんと伝えられるようにする」ことを、マルチブランド戦略の今後の課題に掲げています。これまでは、各ブランドを育てることに主眼を置いていましたが、これからは、マルチブランドのポートフォリオ戦略、マネジメントも重視します。