コンビニより強い!首都圏で増殖続ける、まいばすけっとの全貌!
2005年に1号店をオープンして以来、東京23区、神奈川県の横浜・川崎市を中心に出店を重ねながらも、その戦略の実態はベールに包まれたままだった。800店舗を超える規模に到達した今、2018年にまいばすけっと(神奈川県)代表取締役社長に就任した古澤康之氏がインタビューに応じた。
聞き手=阿部幸治(ダイヤモンド・チェーンストア編集長) 構成=野澤正毅
東京23区への出店、全体の75%占める
──改めて、まいばすけっとの事業コンセプトについて、教えてください。
古澤 都市部ではお店が減って、いわゆる「買物難民」が増えています。当社がライフラインとなって、そうした都市部のお客さまのニーズに応えるというのが、基本的な経営理念です。「物理的にも、心理的にも近い店」、すなわち、「家のそばで便利な店」だけでなく、「親しみやすく、きれいな店」をめざしています。都市部では、ハイコスト・ハイプライスの店舗が多いのですが、当社は、生活密着型店舗なので、スーパーマーケット並みの価格をめざしています。
──店舗フォーマットや商圏の設定は、どのように考えていますか。
古澤 売場面積60坪、平均日販60万円弱の小型店が標準ですが、最近では、やや大型の80坪タイプの店舗も展開しています。商圏は半径500mを想定しています。お客さまには徒歩3~5分で来店いただける距離です。必要商圏世帯数は500~600世帯。そのほか、立地条件としては、店舗前の交通量なども考慮します。客層は女性が60%、男性が40%で、40代以降が多くなっています。
──2019年9月現在、800店舗以上を運営していますが、出店エリアについては?
古澤 出店エリアは、人口が集中し、人口減が起こりにくいと想定される東京23区と神奈川(横浜・川崎)が中心で、そのうち、東京23区が約75%を占めています。
──「まいばすけっと業態」は、05年に事業をスタートし、初めは大量出店を続けて、そのあと出店を抑え、16年から怒涛の出店を再開しています。その理由は?
古澤 スタートから5年後くらいまでは、年平均100店舗規模で出店していました。しかし、社内体制の構築が、成長のスピードに追いつかず、一時業績が足踏み状態となりました。そこで、いったん売場や品揃え、オペレーションを見直すなど、社内体制の拡充に力を注ぐことにして、13~15年は新規出店を年間50店舗規模に減らしました。
利益がV字回復したので、16年からは、再び年100店舗規模の出店に戻しました。
──19年度の出店予定は?
古澤 100店舗規模です。当社は、居抜き出店が多いのですが、規制緩和によって、6月以降は延べ床面積200㎡までなら用途変更の手続きが不要になり、スピーディに出店できるようになりました。そのため、法改正後に出店を加速させました。
──新規出店だけでなく、改装にも力を入れるそうですね。
古澤 当初は年間150店舗を出店する計画だったのですが、店舗年齢が上がって、設備が老朽化したり、商圏ニーズにマッチしなくなったりした既存店も増えていたので、足元を固めることにしました。全面改装したのが15店舗、部分改装したのが40~50店舗です。全面改装した店は10%以上、部分改装した店では3~5%くらい、売上が前期比でアップしています。